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くらしと経済編集部

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未来へ繋げる思いを持続可能な仕組みに−「子ども食堂」の新たな取り組み

小林
こんにちは。小林美沙希です。
コロナ禍で深刻化する子供の貧困問題。子供たちを支援する場として運営されているこども食堂では、近年新たな取り組みが生まれてきているようです。
野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

小林
タイトルにもある「子ども食堂」は、具体的にどのような場所のことを差すのでしょうか?

宮里
「子ども食堂」とは、子どもが一人でも行ける無料または価格を抑えた食堂のことを指します。子どもへの食事提供を通して、一人で食事をとる子どもを減らし、さらには子育て中の親、ボランティアの高齢者や引きこもりの若者などにとっての居場所となるなど、子ども食堂は「子どもの貧困対策」と「地域の交流拠点」という2つの大きな役割を果たしています。しかし、一方で子ども食堂の多くが資金面で課題を抱えており、子ども食堂の支援を行うNPO法人が2020年に実施した調査によると、調査に回答した全国238の子ども食堂運営団体のうち、約4割が「資金の不足」を課題として挙げています。

小林
支援団体が資金難を抱えているという現状は、子どもたちへの継続的な支援のことを考えると、心苦しいですね。

宮里
はい。しかしそのような中、安定した資金繰りで子ども食堂を運営できる「チケット制」の仕組みを、奈良県の子ども食堂が考案し、全国へと広がっています。ここでは、店内に「みらいチケット」と呼ばれる購入者の名前の書かれたチケットが貼られたボードを置いており、子どもたちが自由にチケットを取って食事と交換できるようになっています。このチケットは、来店客が自分の飲食代に上乗せして購入してくれたものなんです。

小林
自分の送ったチケットを誰かに使ってもらえると、純粋に嬉しいですね。

宮里
そうですね。
支援した大人たちにとっては、チケットがボードから取られていることによって自分の支援が目に見える形でわかり、子どもたちにとっては匿名でチケットを利用できることから、支援を受けることへの抵抗感を軽くすることができます。これまで空腹を満たすためにコンビニで食べ物を万引きしていた子どもが、「みらいチケット」の存在を知り、万引きをやめたという事例もあるそうです。

小林
子どもの貧困を解消することは、ただ空腹を満たすだけではなく、もっと大きな意義があるようですね。沖縄の子ども食堂の状況はどうなんでしょうか?

宮里
はい。沖縄県でも、同様の仕組みに注目し、タコライスを介して県内飲食店に仕組みを広げる活動が行われています。この活動には沖縄県内の食堂やカフェ、沖縄そば屋など約30店が参加し、それぞれの店が、タコライスを提供する子ども食堂を運営しています。この活動の発起人となった方は元警察官で、現役時代に、お金を持たない少年たちが空腹を満たすために食べ物を万引きしてしまう現場に幾度となく立ち会ってきたとのことです。この経験から、問題は貧困にあると考え「みらいチケット」形式の子ども食堂の展開に繋がっています。

小林
子どもの貧困対策と地域の交流拠点、2つの重要な役割を担う子ども食堂、今後も継続的な活動ができるよう、こういった取り組みに注目したいですね。
宮里さん、ありがとうございました。

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