公開日
くらしと経済編集部

くらしと経済編集部

地域活性化にもつながる「小水力発電」

小林
こんにちは。小林美沙希です。
電力の供給などを目的に、ここ数年、小水力発電施設が整備され注目されています。
野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

小林
水力発電というと、巨大なダムを思い浮かべますが、きょうのテーマは「小規模な」水力発電ですね?

宮里
はい。例えば、日本で最大の一般水力発電所、福島県の奥只見(おくただみ)発電所の最大発電量はおよそ56万キロワットですが、
小水力発電は、最大出力の発電量が
1千キロワット以下の小規模な発電設備を総称して言うんです。

小林
そう聞くと、小水力発電の規模の小ささがわかりますね。
太陽光や風力発電と比べてどんな特徴がありますか?

宮里
小水力発電は、川や農業用水路、上下水道など、水をためずに流したままの場所に発電設備を設置して行うのが主流です。
太陽光や風力発電と比べ、昼夜を問わず年間を通じて発電ができますし、太陽光や風力がなければ発電できないという制約もないため、設備利用率が高いのも特徴です。
太陽光発電に比べれば設置面積も小さく、全国の小さい川や用水路など開発の余地はまだまだあります。

小林
昔の、水車が回る光景も小水力発電だと思いますがそれがなぜ、注目されているのでしょうか?

宮里
まず、大規模な水力発電所は大量の水を確保するため山間地に建設されますが、そうした候補地はすでになくなっているといわれています。また、東日本大震災と原発事故の後、1か所に巨大な発電所を作るより、小さな発電所を分散配置したほうが電力を安定供給できるという考え方が広がっています。ほかにも、再生可能エネルギーで発電した電力を固定価格で買い取る制度が始まったこと、国が後押ししていることがあげられます。

小林
この小水力発電は具体的にどのように利用されているのでしょうか?

宮里
いくつか紹介します。
一つ目は今年6月、山梨県大月市(おおつきし)で始まった上水道施設を利用した事業です。施設内の配管に発電設備を取り付け、年間10万キロワットほどの発電量を見込んでいます。電力は固定価格買い取り制度を利用して20年間、電力会社に売電されますし、今後は蓄電池と組み合わせて災害時に緊急電源として活用するそうです。

小林
また、岐阜県郡上市(ぐじょうし)の石徹白(いとしろ)集落でも取り組んでいるようですね。

宮里
はい。こちらは全世帯から出資金を集め、自治体や金融機関から融資を受けて2016年に発電所を完成させました。
発電量はおよそ130世帯分に相当する
125キロワットで、全集落分を上回る発電を続けています。電力会社に売電する収益は年間2400万円で、融資返済のほか、耕作放棄地を農地に戻すための原資などに活用していて、若い世代の移住にもつながっているそうです。

小林
小水力発電が、地域活性化にもつながっているんですね。
宮里さん、ありがとうございました。

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!