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くらしと経済編集部

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香り×テクノロジーで、新たな空間づくり

小林
こんにちは。小林美沙希です。
人間の五感のうち臭いや香りを感じる嗅覚。その嗅覚にアプローチするテクノロジーを利用して新たな空間づくりに活かそうという動きが広がっています。
野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

小林
今日は香りについてのお話ですね。
香りとテクノロジーの結びつきというのはイメージしにくいのですが、どのような内容でしょうか。

宮里
はい。駅や店舗などでは、「デジタルサイネージ」と呼ばれる電子看板を使って情報を発信するなど、これまで視覚や聴覚に訴えるサービスやマーケティングなどの事例は各所で見られましたが、嗅覚に訴える例はそう多くありませんでした。
ところが近年、新しいテクノロジーに基づいて香りを活用するサービスなどの提案が広がっています。

小林
香りを活用するサービスというと、ホテルや店舗などで、心地よい香りを漂わせるような、サービスなどのことでしょうか。

宮里
仰る通りです。ただそうした香りによる空間演出の場合、液体状の香料をミストにする場合が多いのですが、香りが消えにくく、服に香りが移ってしまう、といった問題もありました。
それを解決したのが京都のスタートアップ企業の商品です。

この製品は、固形にした香料のカートリッジを使用して香りを発する仕組みです。付近およそ60センチの範囲内という限られたスペースに向けて、気体として噴射します。
これにより香水などの販売促進の用途など、より多彩な用途に香りを活用できるようになりました。

小林
なるほど。シーンや用途に合わせて香りを使い分けられて応用範囲も広がるのは良いですね。

宮里
はい。さらに、ある大手総合電機メーカーのグループ会社では、2019年に五感を刺激するような空間演出を体験できる施設をオープンし、様々な目的に合わせた空間を提供しています。

例えば、「非日常感」を演出するビルや商業施設向けの提案として、映像ディスプレイから気流が発生し、まるで風が吹いているかのように映像に合わせた香りが体験できたり、オフィス向けに、人が座って仕事をしようとすると集中力を高めるローズマリーなどの香りの気流を送るなどの空間の提案がされています。

小林
香りのテクノロジーには、まだまだビジネス上の可能性があるようですね。

宮里
そう思います。最後に香りとテクノロジーの新しい可能性を追求しているスタートアップ企業の事例をご紹介します。

この会社では、今日の大きな社会課題の一つである、精神的なストレスの軽減を目的に、香りの「パーソナライズ化」、つまり利用者一人ひとりに最適の香りを提供することを目指しています。
また個人向けサービスで蓄積したデータを活用してオフィスの生産性向上に繋がる実験を他の企業と連携して行ったり、将来的には、医療や介護の分野にも香りがもたらす価値を提供しようと、病院での臨床研究も開始しています。

小林
香りとテクノロジーの結びつきについてユニークなアプローチを行っているようですね。今後どのようなアイデアが提案されるか注目したいと思います。
宮里さん、ありがとうございました。

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