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くらしと経済編集部

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医療の新たな選択肢「デジタル治療」

小林
こんにちは。小林美沙希です。
医療分野の新たな選択肢として、情報通信技術を活用した「デジタル治療」という新しい治療法が注目されています。
野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

小林
「デジタル治療」とは、あまり聞き慣れない言葉ですが、どういうものでしょうか。

宮里
はい。「デジタル治療」とは、情報通信技術や人工知能といった最先端のデジタル技術を活用した新しい治療法を指します。
新型コロナウイルスの感染拡大によって徐々に広がる「オンライン診療」もその一つです。

小林
治療は「対面」というイメージがありますがデジタル技術の進歩で、必ずしも病院に行かなくても治療ができる、というわけですね。

宮里
そうなんです。またデジタル治療は、科学的な根拠に基づいた臨床的な検証のもと、医師の管理下で処方されます。
とりわけ、病気の予防や管理、治療を行うソフトウェアは「治療用アプリ」と呼ばれます。

小林
病気の治療に活用されるアプリがあるなんて驚きです。実際、どう活用されているのでしょうか。

宮里
では、いくつかの例をご紹介しましょう。

まずは2010年に承認された糖尿病患者向け治療支援アプリです。
このアプリは、患者がスマートフォンに血糖値などの情報を記録すると、結果に応じた指導や生活習慣、モチベーションの維持に関するアドバイスが表示されるものです。

次は、ニコチン依存症の治療用アプリです。患者がアプリに入力する日々の経過や一酸化炭素の濃度などが専用プログラムで解析されて患者一人一人の状況に合わせた治療が進められます。
例えば「たばこを吸いたくなった」と入力すると、「ガムを噛みましょう」、「部屋の掃除をしましょう」といった具体的な行動が提案されます。

小林
なるほど。治療中の方の自己管理を支援する、といったイメージのアプリですね。

宮里
仰る通りです。三つ目は、国内の企業が現在、検証的試験を行っている段階の、不眠症治療用のアプリです。

このアプリは薬に頼らず、患者の思考や行動の癖を把握し、行動パターンを整えて生活上のストレスを減らしていく「認知行動療法」による治療を行う事を目的としています。

宮里
通常、対面での認知行動療法は、週1回、30分から1時間ほどかけて行われますが、このスマホアプリでは、患者は自宅にいながら、毎日分散して認知行動療法のプログラムを受けることができます。
ここまでみてきたようにデジタル治療は、在宅のまま毎日、あるいは頻度を上げての治療を受けられることも大きなメリットと言えます。

小林
病院に通わなくても治療の効果が期待できることは、患者にとって大きなメリットですね。

宮里
そうですね。こちらのように日本の国民医療費は人口の高齢化もあって増大傾向が続いていて、直近データである、2018年度は43兆円強となっています。
在宅のまま治療できることは、医療に関する様々なコスト削減に繋がることも期待できます。
デジタル技術の進化、在宅医療への流れなどを背景に、デジタル治療は今後の大きな成長が見込まれる市場と言えそうです。

小林
デジタル技術の進化に合わせて、今後も画期的なアイデアがどんどん出てくる事に期待したいです。
宮里さん、ありがとうございました。

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