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くらしと経済編集部

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デジタル時代の社会を市民が変える「シビックテック」

小林
こんにちは。小林美沙希です。
デジタルの技術を用いて、市民が社会の問題を解決する動きが近年広がっているようです。
野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。今日はシビックテックについてお話しします。

小林
耳なじみのない言葉ですが「シビックテック」とは、どういうものなのでしょうか。

宮里
シビックテックとは、市民を表すシビックとテクノロジーの2つの単語をかけ合わせた言葉です。
市民自身がテクノロジーを活用して、行政サービスの問題や社会課題を解決する取り組みのことを指します。
新型コロナウイルス感染症により加速したオンライン化などを背景にシビックテック市場は成長しており、2020年には世界で9,283 億ドル、2021年には9,649億ドルへ成長すると予想されています。
今後も市場の成長が見込まれており、社会的そして経済的な役割を増しています。

小林
国内ではどのようにシビックテックが活用されているのでしょうか。

宮里
日本では東日本大震災が契機となり、シビックテックが広がりをみせています。
震災直後、システムエンジニアが集まり、災害情報を収集し地図上に表していくサイトを立ち上げました。
このサイトでは、どこでどのような災害が発生しているのかを、誰でも簡単に把握できるようになっています。
また現在のコロナ禍を受けて、京都のシビックテックコミュニティが起点となり、検査人数や患者数などの最新動向を日々更新する「新型コロナウイルス感染症対策サイト」が開設されました。
サイトのソースコードは、誰でも自由にアプリ開発できるように公開されています。
沖縄県でもシビックテックコミュニティが同様のサイトを作成し、日々データを更新し続けており、市民がデジタル技術を駆使して地域社会に貢献しています。

小林
沖縄県でもシビックテックは活用されているんですね。他にも県内で使用されている事例はあるのでしょうか?

宮里
はい。今年7月に行われた那覇市議選では、一人のITエンジニアが「選挙ポスター掲示版」マップを作成し、市議選の立候補者が自由に使えるように公開しました。
これは、これまで立候補者が手作業で行っていた煩雑な作業を簡素化し、後ろ盾のない候補者でもポスター掲示を少ない負担で行えるように後押しするものです。
このマップの公開により有権者が立候補者を知る機会を失われる恐れを低減し、ポスター張りの経験差を公平にすることにもつながります。

小林
シビックテックの目的のひとつ「行政サービスの問題」を解決した事例ですね。

宮里
はい。一方で、このような取り組みを後押しするために必要なデータそのものの整備が、国内ではまだ進んでいないのが現状です。
行政サービスを市民がテクノロジーを使って良い方向へ変えていくには、行政が持っている情報を誰でも使えるように公開することが必要です。
行政が公費を使って作成した貴重なデータがオープンデータとして公開されることで、市民がそれらを使い新たな価値を創出する機会を得ることができます。

小林
なるほど。今後、行政などのオープンデータ化が推進され、ますますシビックテックが盛り上がることを期待したいですね。
宮里さん、ありがとうございました。

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