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くらしと経済編集部

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仮想空間に現実を再現する「デジタルツイン」技術

小林
こんにちは。小林美沙希です。
AIや5Gなどを駆使する、新たな技術の概念「デジタルツイン」という言葉をご存じでしょうか
今、製造業を中心に熱い視線が注がれているようです。
今日は「デジタルツイン」の最新事情について野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。
宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

小林
耳なじみのない言葉ですが「デジタルツイン」とは、どういうものなのでしょうか。

宮里
はい。
まず、「ツイン」は「双子」などを意味する英語で、「デジタルツイン」とは「デジタル空間上の双子」という意味です。
現実の空間上にあるモノや環境の状態をデータとして収集し、デジタル空間上に、そうしたモノや環境を再現する、技術の概念を指します。

小林
なぜ、現実のモノなどをデジタル空間上に再現する必要があるのでしょうか?

宮里
はい。
現実の双子としてコンピューター上に再現することで、収集した膨大なデータをもとに、限りなく現実に近いシミュレーションなどができるようになるからです。
例えば、製造過程においては試作品の製作回数を減らすことができ、製造工程の省力化やコスト削減につなげることができます。
ご覧いただいているように、IoTや5G、AIなどの技術が進化し、成熟してきた今日だからこそ、デジタルツインの持つ可能性がより注目されるようになってきたといえます。

小林
製造業では既に導入されているという事ですが、それ以外の分野ではいかがですか?

宮里
はい。
建設業でも活用が進んでいます。
例えば国内のある会社では、 IoTセンサーで取得したヒト・モノ・クルマのデータを仮想空間に表示することで、建設現場を遠隔で監視することができる独自のデジタルツインを開発しました。
建設業では効率的な工程の設計や生産性の向上、さらには安全性の向上といったメリットが期待されています。

小林
建設現場のような広大な規模の現場では、メリットが生かせそうですね。

宮里
はい。
さらに広い範囲という意味で、国や都市、まるごとデジタルツイン化への取り組みも国内外で始まっています。
例えば東京都では、デジタルツインを構成する様々な技術を最大限に活用して、都政のサービスや、都民の生活の質を向上させることを目指す「デジタルツイン実現プロジェクト」を展開していて、防災やまちづくり、エネルギーなど、様々な分野でデジタルツインを活かしていく考えです。

小林
都市や国まるごとなど、今後もデジタルツイン化する対象が、ますます広がりそうですね。

宮里
そうですね。
デジタルツインという概念は、きわめて対象が広く、非常に大きな将来性を秘めています。
アメリカの市場調査会社によるとデジタルツイン技術の世界市場は、2027年にはおよそ、5兆8,800億円に上ると予測していて、今後注目すべき、新しいテクノロジー分野の一つ、といえると思います。

小林
私たちの暮らしや産業のあり方を大きく変革する技術といえそうで、今後も目が離せませんね。

宮里さん、ありがとうございました。

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