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くらしと経済編集部

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月の水を求めて 期待高まる月探査事業

小林
こんにちは。小林美沙希です。
民間人だけの宇宙旅行のニュースが報じられるなど、宇宙産業への期待が高まる中、夜空で見ることができる「月」についても熱い視線が注がれているようです。
今日は「月探査」の最新事情について野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

小林
「月」といえば人類初の月面着陸を成功させたアメリカのアポロ計画を思い浮かべる人も多いかと思いますが・・・

宮里
そうですね。
そのアポロ計画は1972年に終了したのですが、半世紀近くが経過した今、再び、月に対する関心が世界的に高まっています。

こちらは2000年代に入ってからの、各国の主な月探査プロジェクトですが、アメリカはもちろん、中国、インドの存在感が高まっていることがわかります。
特に中国は、2019年に人類史上初めて、月の裏側に無人探査機を着陸させ、2030年代には中国主導の月基地を建設しようとしています。

小林
こうした背景には何があるのでしょうか?

宮里
こちらをご覧ください。
近年、月探査が盛んになってきた背景には、主に三つの事情があります。
一つ目は、科学技術が発達したことで、ロケットや探査機の開発コストが激減して、民間企業も開発できるようになった事です。
二つ目は、先ほどお話した、中国の躍進です。
そして三つ目は、国際宇宙ステーションの代替わりです。
現在の国際宇宙ステーションは、技術の開発や、有人宇宙技術の継承などで重要な役割を果たしてきましたが、2024年でその運用が終わる予定です。
中国が、2022年の完成を目指して着々と宇宙ステーションを建設するなかで、外国の宇宙飛行士の受け入れ姿勢も示しています。

小林
かつては、アメリカと当時のソ連が競っていた宇宙開発は今では、アメリカと中国の動きが重要になってきている、といえそうですね。

宮里
はい。
こうした背景の中で今関係者の注目を集めているのが、「月の水」、厳密に言うと、水が低温で固まった「水氷」(みずこおり)の存在です。

小林
初めて耳にしますが、どうして「月の水」への関心が高いのでしょうか?

宮里
はい。
月探査など、人間が長期にわたって宇宙で生活するためには、水は不可欠となります。
月に水があれば、まずは飲料水として利用できますし、太陽光発電でつくった電力で、水素と酸素に電気分解すれば、呼吸のための酸素もつくれます。

小林
世界各国が水の探査に向けた準備を着々と進めているようですが、日本の動きはどうなっていますか?

宮里
はい。
まず総務省が、今年度「月面の水の在りか」を地図にする実証実験を始める他、JAXA(ジャクサ=宇宙航空研究開発機構)は、インドの研究機関と、水の量と質に関するデータを取得することを目的とした協働ミッションを計画しています。
一方、大手自動車メーカーやベンチャー企業などこれまで宇宙関連に進出してこなかった異業種の参入も増えています。

小林
日本の技術を集めた月探査で、今後どのような調査結果が出てくるか、目が離せませんね。

宮里さん、ありがとうございました。

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