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真境名 育恵

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沖縄のお盆・旧盆行事「ウンケー」今年は2024年8月16日(金)

沖縄旧盆_ウンケー

沖縄の旧盆は、年間行事のなかでも特に重要な伝統行事のひとつです。
旧暦7月7日の七夕からはじまり、13日のウンケー(ご先祖さまのお迎え)、15日のウークイ(お送り)まで、およそ1週間にわたって盛大に執り行われます。
この1週間は、ご先祖さまを敬いつつ、大切な時間を家族で過ごします。
2024年の旧盆は、8月16日(金)~18日(日)。
本記事では、お墓参りから仏壇の準備、ご先祖さまのお迎えとはどのようなものか詳しく解説します。

目次

まずは旧暦7月7日「タナバタ(七夕)」にお墓参りとご先祖をお迎えする

沖縄では、お盆をとても大切にしています。「旧盆」は、沖縄の旧暦行事の最大の山場といっても過言ではありません。
旧盆シーズンがスタートするのは、ウンケーのその前の週に当たる「七夕(タナバタ)」のお墓参り行事から。仏壇のある家を「ムートゥヤー/ムチスク」と呼び、この家が中心になってお墓参り行事を行います。
このことからわかるように、沖縄でいう「七夕(タナバタ)」は、本州で行う七夕とは全く別のものです。

今年の旧暦7月7日(旧暦七夕)は、8月10日。
この日は祖先のお墓に集い、酒やお茶、お線香を供えて、墓掃除をしてお墓を清め、「タナバタ」であることを祖先へ告げるとともに、旧盆にむけてご先祖さまへ案内します。

旧暦の七夕には、「タナバタティーダ」という別名もあります。
ティーダとは太陽の事。猛烈な太陽が降り注ぐ日という意味で、この別名が付けられています。
この日は例年とても日差しが強く、昔は虫干しをするには最適な日とされていました。また地域によっては、お墓用の割れた茶碗を新調することも。

沖縄の離島などに残る風習「洗骨」を行うのも、この時期でした。
こういった慣わしからも、現在はお墓のメンテナンスをする日、として捉えられています。
注:「洗骨」とはなくなった方を弔う方法で、火葬せず、風葬し、遺骨を洗うという風習のこと。亡くなった人を自然に戻すという民間信仰に基づくものといわれています。

沖縄旧盆_タナバティーダ

お墓の門番「ヒジャイガミ」とは

沖縄旧盆_ヒジャイガミ

ご先祖さまを案内するにあたり、まずヒジャイガミに拝み、許可をいただきます。
「ヒジャイガミ」とは、土地の神さまのひとりで、お墓の左側にいらしてお墓の門番のような役割をしています。
なお、お墓に向かってみると右側にいらっしゃいますので、拝む際は方向に注意しましょう。

お墓の神さま「ヒジャイガミ」へのご挨拶の手順

お墓を守ってくださる「ヒジャイガミ」への拝み方はこちら。

沖縄旧盆_拝み方

1.「ヒジャイガミ」へのお酒・あの世のお金(シルカビ)・線香をお供えします。
使用するお線香は、6本のお線香くっついて一枚の板のようになっている「ヒラウコー」。これを2枚用意します。

2.「今日までお墓をお守りくださいまして、ありがとうございます。」という感謝の祈りをささげます。

3.「今日はタナバタの日、お墓の周りをきれいに掃除しますので、けがをしないように見守っていてください。」と祈願します。

4. その後、シルカビを燃やし、お酒をかけます。

お墓の守り神・ヒジャイガミの次はお墓へ

1. お墓周りの掃除を済ませた後、ご先祖さまへ向かいます。

2. お墓に花を飾り、お酒・お茶・線香をお供えします。

3.「お盆が近づきました。ウンケーの日にはご先祖さまを連れ立って、家にお越しください。」とご先祖さまに案内します。
復習:ウンケーとは「ご先祖さまをお迎えする日」です

お仏壇へのウートートーも忘れずに

沖縄旧盆_ウートートー

1. 仏壇にお茶をお供えします。このお供えするお茶を「ウチャトー」といいます。

2.「ウチャワキ(お茶脇)」、お酒、線香をお供えします。
※「ウチャワキ」とは煮物やおかずをお皿に盛り付けたお供えもので、奇数の品数で用意します。
沖縄天ぷらや、三枚肉の煮つけ、昆布料理などが定番です。

3. お供えが終わると「今日はタナバタです。お供えしましたウチャワキをお受け取りください」と祈ります。

なお、ウートートーとは沖縄の方言で、神仏に手を合わせることです。小さなころから聞きなれていて県内ではなじみ深い言葉です。

沖縄お盆のはじまり:旧暦7月13日のウンケー

旧暦の7月13日(2024年は8月16日)は、旧盆の初日。
ご先祖さまを迎える最初のこの日は、夕方頃に家族でご先祖さまをお迎えします。
お迎えまでに仏壇や位牌、道具類を清め、お供えものや飾りものを整えておきます。

いざ本番スタート!ご先祖さまお迎えの準備

1. 仏壇に「これからご先祖さまをお迎えするお盆の支度をするので、お掃除いたします。」とお祈りします。

2. 心を込めて仏壇仏具をていねいに掃除します。

3. 仏壇や位牌の材質に考慮してよく絞った濡れ布巾で拭いた後、きれいな布巾やキッチンペーパーなどで乾拭きします。

4. 沖縄で「ウコール」とよばれる香炉は、線香の燃えのこりなどを取り除き、灰の形をカレースプーンなどで山形に整えます。

5. お供えする花は、トゲのあるものを避けて暑さに強い花木を生けます。

6. お茶を供える湯のみやお酒をいれる盃も洗って清めます。

お供えものの準備

お供えものに準備するのは、主に以下のものです(家庭や地域によって多少の違いがある場合があります)。

沖縄旧盆ウンケー_お供え

・お膳に沖縄の炊き込みごはん(ウンケーじゅーしぃ)
・酢のもの
・あの世のお箸(ソーローメーシー)
・葉付のショウガ
・白い団子(ウンケーダング)7個を、左右対称に二皿
・グーサンウージ(サトウキビ)
このほかに、沖縄の旧盆のお供えものは果物類が中心で、左右対称に飾るため、二つずつ準備するのが基本です。
・お供えものの果物は昔ながらのバナナ以外にもリンゴやミカンなど台付の鉢に、ていねいに盛り付けていきます。
・パイナップルやすいかのように大きな果物は「ガンシナ」と呼ぶ藁で作った輪を敷いて、果物が倒れないように安定させてお供えします。
・左右に2灯の提灯を置きます。

グーサンウージとは

仏壇飾りに欠かせないのが、「グーサンウージ」と呼ばれるサトウキビ。

沖縄旧盆_グーサンウージ

「グーサン」は杖、「ウージ」はサトウキビを表します。
「グーサンウージ」は、あの世から来られるご先祖さまが杖として使う長いサトウキビの事です。
仏壇の両脇に一本ずつ立てかけます。
グーサンウージの持ち手の部分に赤い紙をまきます。ご先祖さまにとっての目印です。
来るとき用、帰るとき用に2本ずつ用意します。
これらの「ガンシナ」「グーサンウージ」など旧盆のお供えものやお飾りは、以前は市場で購入することが多かったため、市場賑わいはこの時期の風物詩でもありました。
時代は変わり、最近では沖縄のスーパーで一式買いそろえることもできます。

ご先祖のお迎え(拝み方・お線香の本数など)

沖縄旧盆_ヒラウコー_線香

お仏壇飾りやお供えものの準備ができたら、夕方頃から門前へ出て親族でご先祖さまのお出迎えをします。
玄関には、あの世(グソー)から長旅をしてきたご先祖さまが手足を洗い清める道具として、メドハギという植物の葉を束ねて箒(ホウキ)を作り、水を入れた鉢に入れておきます。
この箒をソーローホーチといいます。
注:ソーローホーチは一般的な習慣ですが、家庭や地域によって多少の違いがある場合があります。

お出迎えの際の拝みの手順は、以下が一般的とされています。

1.まず、その家の主人(主に男性)が火をつけたヒラウコー(お線香)2枚を門前に置きます。

2.家族全員で門の内側から外に向かって合掌し、主人が「旧暦7月13日の盆の入りです。家族そろってご先祖さまをお迎えしますので、どうぞおいでくださり、一族のもてなしを受けてください。」とお祈りします。

3.家族全員が、各自半分のヒラウコーを立てて拝みます。

4. 全員分の線香をお供えしたら、全員で合掌し「今日から3日間、クンマガ(子や孫)で心よりのおもてなしをさせていただきます。家族全員、健康で子孫繁栄を願います」と祈りを捧げます。

5. 無事にご先祖さまをお迎えした後は、一晩中、灯りを絶やさないようにします。

これでご先祖さまのお迎え、ウークイの完了、お盆のスタートです。
ウンケーの後は、中日(なかび)のナカヌヒー、最終日のウークイと続きます。 

沖縄旧盆_ウートートー

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