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経済界の”後ろ盾”失った「オール沖縄」 金秀G会長が次期衆院選の不支持を表明

次の衆議院選挙を前に金秀グループの呉屋会長がいわゆる「オール沖縄」勢力の候補者を支援しないことが明らかとなり、県内政局に大きな波紋が広がっている。

不支持を決めた理由、そして今後の選挙戦への影響は・・・

金秀グループ・呉屋守將会長
「私としては一つのタイミングかということで『今回はご支援できません』とお伝えをいたしました」

先週、沖縄テレビのインタビューに応じた金秀グループの呉屋守將会長。
次期衆院選を前にいわゆるオール沖縄勢力と離別することを明確にした。

金秀グループ・呉屋守將会長
「我々経済団体としては、もうここらへんでステージを変えないといけないなと思いますし、そうすることが沖縄県民に対する経済人としての責務だと思いました」

〈2014年6月12日〉
「翁長雄志那覇市長は自ら先頭になって建白書行動を起こし、以後もその信念をまげることのないぶれない政治家であります」

2014年の県知事選で翁長知事を誕生させる原動力となった呉屋会長。
ホテル業のかりゆしグループとともに「基地は経済発展の阻害要因」と訴え、オール沖縄の保守と経済界へのウイングの広がりを象徴する存在だった。

翁長知事が死去してからは後継者として擁立した玉城知事の後援会長も務めたが去年退任。

新型コロナウイルスの影響で経済が打撃を受ける中、社業に専念したいというのがその理由だった。

一方、保守中道の経済人という立場から政党色が強まるオール沖縄にかねてから不満を募らせていた。

金秀グループ・呉屋守將会長
「『オール沖縄勢力』という呼び方、私はちょっとピンとこないんですね。翁長前知事を亡くしてから、やはり彼は保守中道ですから、一部のそうでない方々がちょっとはしゃぎすぎたような気がしております。それがかりゆしグループをはじめ、他の方々のオール沖縄離れになってきたのかなと」

政治学が専門の江上能義早稲田大学名誉教授は、自民党県連の幹事長も務めた保守の政治家で「腹八分腹六分」と唱えまとめた翁長前知事が死去したことで、保守と革新のバランスが変化していると指摘する。

江上能義早稲田大学名誉教授
「翁長前知事が仕掛けたせいもあって自民勢力、保守勢力のほうが主導権を握っていたわけですよね。ところが玉城さんもそのオール沖縄にのって当選したけど、だんだん保守勢力が影が薄くなって、むしろ革新勢力のほうが目立つという状況になって。それをオール沖縄の保守側の人たちがよく思わない」

金秀グループ・呉屋守將会長
「本当にみんな翁長さんのように腹八分六分で我慢して大きく大同小異でやってきたのかということを考えますと違うだろうと。それぞれ胸に手を当てて考えたらお判りになると思います」

辺野古移設の阻止を掲げ戦う選挙をこれまで支援してきましたが、その政治闘争は2019年に行われた県民投票で区切りがついたと持論を語った。

金秀グループ・呉屋守將会長
「イシューを一つに絞って、辺野古の埋め立てだけについて沖縄県民の総意を示してみようではないかと。それで私は辺野古の闘いの原点だった。オール沖縄の皆さんは今でも辺野古の基地反対ということで、来る選挙ごとにファーストイシューでやっておりますけど、私にとってはもうこれはファーストイシューの価値はない」

新型コロナの影響でかつてないほどの苦境に追い込まれる県経済、

県民投票で反対の意思を示してもなお進められる辺野古の埋め立て工事。

こうした状況は選挙における県民の投票行動にどう影響するのか。

経済界の重鎮の後ろ盾を失った「オール沖縄」勢力はますます革新色が強まることも予想される。

江上能義早稲田大学名誉教授
「保守のほうに広げていたウイングが翼がもげていく形になりますので、そういう意味ではオール沖縄にとって今後の選挙は厳しいものになるだろうと」

インタビューの最後に呉屋会長は来年の県知事選については次のように話した。

金秀グループ・呉屋守將会長
「新しい沖縄全体をまとめるような政策を立ち上げ、そしてみんなをまとめていけるような政治家が立候補してほしいと思います。その候補者の中には玉城デ二ー知事も現職も含めてのことです。あえて別の人とは言いません」

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