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やんばるのマングース減少 ロードキルの課題も大きく

世界自然遺産に登録された本島北部のやんばるではヤンバルクイナなどを捕食する外来種・マングースの駆除事業が続けられています。ここ数年のマングースの捕獲数が少なくなっていて関係者の地道な努力が成果に繋がっています。

環境省と県はやんばるの希少生物を守るためにヤンバルクイナなどを捕食する外来種・マングースの侵入を防止する柵を設置したり捕獲器を仕掛けるなど21年前から対策を続けてきました。

大宜味村の塩屋湾から東村の福地ダムにかけてはマングースの侵入防止柵が設置されていて「SFライン」と呼ばれています。

環境省によりますと、この「SFライン」から北側で2020年度に捕獲されたマングースは前の年度よりも6匹少ない33匹で、最も多かった2007年度の619匹の5%まで減っています。

探索犬を使ってマングースの通りに道に効率的に罠を仕掛けるなど長年の地道な努力が実を結んでいるもので、これによりヤンバルクイナなどの希少生物の個体数も回復していると評価されています。

人の手で持ち込まれた外来種への対策が進む一方で、生き物が車に轢かれて死んでしまうロードキルの問題も忘れてはなりません。

県内では今年に入ってヤンバルクイナの交通事故がすでに31件発生していて、このうち26羽が死んでいます。

県内で希少生物の保護活動をしているNPO団体は今年7月、事故にあったヤンバルクイナのリハビリ施設建設に向けたクラウドファンディングをはじめ先月30日までに目標を上回る1300万円以上の支援が寄せられました。

どうぶつたちの病院沖縄長嶺隆医師「全国から1000名以上の方が寄付をしていただいて、本当に皆さんの思いが伝わってきますし本当にありがたい、感謝の気持でいっぱいですね。」

怪我をしたヤンバルクイナは現在、長嶺医師の病院などでリハビリを行っていますが、すでにスペースがいっぱいで新たな施設を建設が急務となっているのです。

長嶺医師は、リハビリ施設を早めに完成させて1羽でも多くのヤンバルクイナを自然に返してあげたいとしたうえで、最終的には動物たちが交通事故に合うことのない安全な森をつくりたいと意気込みました。

「ヤンバルの生き物たちが安心して暮らせるような交通事故も起こらないような森にして次世代の子どもたちに引き継ぐこれが最終ゴールなんです。まだまだ道半ばなんですけど、一歩進めたなと思っています。」

世界に認められた多くの希少生物が住むやんばるの森を守るために、車を運転する際はスピードを出さないなど私たちひとりひとりの意識ある行動が求められています。

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