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軽石大量漂着 多方面に影響及ぼす

県内各地の海岸に流れ着いた軽石が多方面に影響を及ぼしています。国頭村の漁港では「漁船が漁に出られない」「生簀の魚が死ぬ」などと言った悲痛な訴えがあがっています。

砂浜や港を埋め尽くす大量の軽石は、今年8月に噴火活動が確認された小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」が噴火した際に噴き出したものと見られています。

軽石は10月中旬以降、本島北部を中心に本島全域で確認されていて、漁船が漁に出られず休業を余儀なくされたり、ビーチが埋め尽くされてマリンレジャーができなくなったりと様々な方面に影響が出ています。

なかでも国頭村の辺土名漁港では生簀に軽石が流れ込み養殖されているサバの仲間「グルクマ」が死ぬ被害が確認されました。

国頭漁業協同組合村田佳久組合長「まさか食べるとは想定していなかった。死んでいる魚を解剖したら、胃袋の中にいっぱい軽石が入っていた。」

「このいけすだけでも40万円くらいの被害になる。」

およそ300匹いたグルクマのうち160匹あまりが死んでいて、漁協は餌と間違えて食べてしまったことが原因と見ています。

この状況に専門家は今後も同様の被害が出る可能性があるとして、早急な対策が必要と指摘しています。

琉球大学海洋自然学科立原一憲教授「かなり広範囲に港に入ってくると。沿岸にいる魚にとっては結構大きなダメージある可能性があります。小さくなった軽石は水中を漂い出すと大型のプランクトンを食べるような魚類が捕食する可能性があります。」

「軽石をブロックするようなフェンスみたいなものを水面に浮かせること。そういう対応が必要になってくると思います。」

また軽石の漂着が長期化した場合、希少生物への影響も懸念されます。

立原教授「本来は泥でできている泥干潟とか(軽石が)取り残された場合、そこの環境が干潟ではなくなってしまう。絶滅危惧種の魚がたくさん住んでいますので長期間続くと大きダメージがあるかもしれない。」

この問題を受けて県や国も対策に乗り出します。県は26日までに環境部と土木建築部、農林水産部からなる対策チームを設置しました。

漁船の操業が出来なくなっている国頭村の辺士名漁港と安田漁港については災害復旧事業の適用を水産庁と協議していて11月にも軽石を取り除く方向で調整を進めています。

また各地のビーチなどに漂着した軽石についても量が多く管理者で除去することが難しい場合、県が優先順位を付けて回収することも検討することにしています。

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