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オール沖縄vs自公 得票数が逆転 玉城知事の求心力低下も

沖縄県の衆院選は議席を自民が一つ増やし、オール沖縄が一つ減らす結果となった。

互いに2勝2敗で五分の結果だったと言えるが1区と2区で敗れた候補が比例で復活したことにも表れるように全体的な勢いは自公勢力にあったと感じる。

前回2017年の選挙でオール沖縄の候補が獲得した票と、自公の候補が獲得した票を比べると6万近い差があった。

今回はオール沖縄が3万票以上減らしたのに対し、自公は逆に3万票近く票を増やした。

これまで同様に県内で普天間基地の移設計画が争点となるなか、オール沖縄勢力が名護市を抱える3区を落としたインパクトは大きい。

市町村別に見ても名護市では島尻氏が屋良氏に1500の票差をつけた。

自公陣営はこれまで辺野古移設を争点化され苦杯をなめてきた経緯もあり、今回は北部振興や子育て政策などを重点的に訴え、辺野古移設の是非を積極的に語らなかった。

このため辺野古ワンイシューの選挙ではなかったが、政府がこの結果を「移設を容認する民意の現れ」と喧伝することも考えられる。

また、3区は2014年、2017年の衆院選で当時衆議院議員だった玉城知事が勝利していた知事の「お膝元」でもある。

玉城知事としては後継者の屋良氏を勝利に導くことが必須だったが敗北を喫したことで求心力の低下を招くことは避けられない。

来年1月の名護市長選挙への影響は必至で、秋に予定される天王山・県知事選にも影響するかもしれない。

政府が沖縄の民意を顧みることなく辺野古の埋め立てを強行する中、移設を阻止する手立てを見いだせないオール沖縄が支持をつなぎとめられなかったとも指摘される。

沖縄テレビが各選挙区で実施した出口調査で普天間基地の辺野古移設の賛否を聞いたところ、反対が54%、賛成は21%で辺野古移設を強行する政府への不信感は根強い。

一方、新型コロナの影響で目の前の生活が苦しい人々が多い現状から、政権与党に経済の立て直しを望む声が結果として表れたと考えられる。

▽早稲田大学・琉球大学江上能義名誉教授
「辺野古もね、『喜んで受け入れます』っていう県民は私はいないと思いますよ。特にコロナ禍で観光がだめになって経済本当に悪くなったから、政府を敵に回してもあまり良い事は無いというような配慮もあるでしょう。今度の選挙区は2対2で、まだ互角というふうなことを言えるかもしれませんけど、オール沖縄は抜本的な検討を要すると思いますね」

「保革を超えて県民の心を一つに」と訴え、オール沖縄を主導した翁長前知事が発したメッセージは、多くの県民の心を打ち、過去の選挙でオール沖縄勢は選挙を優位に進めてきた。

しかし経済界の離脱が相次ぎ枠組みが変わっているのは紛れもない事実で、現実問題として辺野古の移設工事を止められていない現状がある。

辺野古雑感辺野古を止めるという公約を掲げたのであれば、その公約の重みは今後、より一層求められる。

来年には本土復帰50年を迎えるが自立型経済の実現は道半ば。

この50年で社会基盤は整備されてきたが依然として県民所得は全国最下位で、子どもの貧困率も全国平均の2倍に上る。

再選を果たした西銘氏は現職の沖縄担当相で、5年ぶりに国政への復帰を果たす島尻氏も沖縄担当大臣を歴任した。

政権とのパイプを強調してきた2人には、沖縄の社会課題を解決してく実行力が問われる。

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