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PCR需要高まり 増える”検査難民” 

沖縄県内では感染者の急増に伴いPCR検査を希望する人が殺到している。

離島を含め県内5か所に検査場を構える沖縄PCR検査センター。

県内で感染が一気に爆発した年明けから検査を希望する人が殺到し、現在は先月の4倍以上にあたる1日あたり2000人から2500人が検査に訪れるという。

▽沖縄PCR検査センター担当者
「第5波、第4波と比べるとやっぱり一気に増大してきたなという印象があって、それこそ一気に200人、400人、1000人、1500人と増えていった」

センターでは検査枠を拡大するなどできる限りの手は打ってきたが、新たに確保した枠をも上回る検査希望者がいて予約の取りづらい状況が続く。

▽検査を受けに来た人
「(予約は)ちょうど1週間前ですかね。感染者の数を見るとやっぱり、仕方ないのかなと」
「(別の検査場も)大体キャンセル待ちか、今日の日付も選べない所もあったので。リアルタイムで受けられないと、自分だけのことではないので不安はありますね」

検査を受けられたとしても結果が判明するまでに時間を要する。

▽沖縄PCR検査センター担当者
「正直な話をすると、検査数をある程度拡大しているところで、検査室というところが現時点でキャパシティ(能力)がギリギリ超えている部分があって。どうしても検査結果がご希望の時間に届かないという障害が発生しているのかなと」

県が濃厚接触者を対象に行っているドライブスルーのPCR検査も先週、午前7時の受付開始からわずか5分足らずで当日の予約枠800件が埋まった。

予約サイトにアクセスが集中する状況を緩和しようと県は4日先の予約もとれるように変更したが、19日に確認した際にはほとんどの枠が埋まっていた。

検査を受けたくても受けられない・・・

検査体制のひっ迫は教育現場にも波紋を広げている。

県内の高校では先週の時点で生徒や教職員の感染で4校が臨時休校、30校以上が学級や学年閉鎖に。

感染者が出た場合にクラス全員を対象に行う「学校PCR検査」は追いつかず、学校再開や閉鎖解除の目途が立たない状況となった。

このため県教育委員会はPCR検査を濃厚接触者のみに絞り、それ以外の生徒は自宅で5日間健康観察し症状などがなければ登校させる方針に切り替えた。

1年と2年が学年閉鎖となっていた那覇国際高校では、検査対象が240人から12人になり学年閉鎖は解除に。

校長からはやむを得ないとの声が聞かれた。

▽那覇国際高校・上江洲隆校長
「広くやっていただけると隅々まで安全を確保できるが、少数でもある程度対応していただければと考えているところであはあります。生徒達の学びの保障もありますので」

こうした中、政府は濃厚接触者の増加で社会機能の維持が困難になることを防ぐため、待機期間の短縮を決定。

エッセンシャルワーカーは検査で陰性が確認できれば最短6日で隔離を解除可能とした。

この対応を受け沖縄テレビが県内11の市にアンケート調査を行ったところ、待機期間の短縮で出勤可能となった職員がいると回答した自治体は半数ほど確認された。

複数の自治体から待機期間の短縮で市民サービスの低下を防げるなど評価する声が上がる一方、検査を受けたくても受けられず陰性を確認できないまま出勤することへの不安を訴える自治体もあった。

県の疫学統計解析委員会は今月10日からの1週間の新規感染者数は9355人と前の週の1・3倍で「急激な増加は収まりつつあるようだ」との認識を示す。

一方、この要因のひとつに県内では検査体制の上限に近づいていることから、予約がとれず検査を諦めている人が一定数いると指摘している。

県は1日あたりの検査可能な件数を最大で2万6000件と見積もったものの、現時点ですでに2万件ほどに達し、県内の検査能力は限界に近いとの見方を示した。

▽県保健医療部・糸数医療技監
「2万6千件は相当無理をした数で、毎日その数を維持するのは難しい。今の2万件ぐらいが恐らく上限に近いのではないかと考えている」

県は今後県内の検査体制の拡充に取り組むとともに、県外の検査機関にも協力を仰ぐ方針。

感染拡大を防ぐため重要な手段の一つである検査。

感染対策と経済活動の両立を図るためにも希望者が速やかに検査を受けられる体制の構築が急務となっている。

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