沖縄復帰50年 届かない想い 日米同盟の名の下に基地負担続く
日本に復帰して半世紀たっても沖縄県民は基地と隣り合わせの暮らしを余儀なくされているのが現状です。しかし日米両政府は基地の無い平和な島を望む声から目を逸らすかのようなメッセージも発しました。
普天間基地に隣接する宜野湾市の上大謝名地区。
アメリカ軍機の事故の危険性や騒音に悩まされ続けてきた住民は早期の閉鎖、返還を訴えています。
▽山城廣司さん
「復帰の年も雨が降ったし、15日の記念日も雨が(降った)ということで、沖縄の人の涙じゃないかなとそういうふうな感じもしております。50年前に我々が諸手を挙げて喜んだものにはまだ程遠いですね」
▽山城賢栄さん
「撤去閉鎖どころかますます強化されて大変残念に思います。我々としては宜野湾普天間の飛行場の1日も早い撤去閉鎖ですね。それを願いたいです。願っております」
15日に普天間基地を視察した岸田総理は「危険な状況は全く変わっていない。こうした危険な状況を一日も早く除かなければならない」と危険性を一日も早く除去すると強調しましたが、完成まで12年かかると試算される名護市辺野古への移設が唯一の解決策だと繰り返しました。
投票総数の7割が辺野古の埋め立てに反対する結果となった県民投票の実現に奔走した元山仁士郎さん。
辺野古移設の断念と普天間基地の閉鎖を求め、今月9日から総理官邸前で食事を摂らずに抗議するハンガーストライキを始めました。
▽元山仁士郎さん
「(政府は)沖縄の負担軽減とかをよく口にするんですけど、それが中身を伴っているのか、沖縄の多くの人たちが望む形になっているのかということを疑う」
15日も岸田総理に声を届けたいと復帰式典会場の近くで座り込みました。
▽元山仁士郎さん
「本当に残念に思います。沖縄の多くの人や私自身の要求を聞かない、聞こうとしないと判断しているのは岸田首相であり、日本政府なので」
▽岸田首相の式辞
「日米同盟の抑止力を維持しながら、(基地負担の軽減を)一つ一つ着実に積み上げてまいります」
アメリカのバイデン大統領は復帰50年に沖縄に向けたメッセージを発表しました。
▽バイデン大統領のメッセージ ※一部抜粋
「日米同盟はかつて無いほど強固なものになっている」「沖縄の貢献に深く感謝する」
▽式典に出席したエマニュエル駐日大使
「自由は無償ではありません。それぞれの世代が自由の根幹を維持し強化するために代償を支払っています。次の50年を見据えて、日本全国で友好関係をさらに深めるとともに、沖縄の繁栄に貢献していきます」
復帰50年の節目に日米両政府が発したメッセージ。
基地の無い平和な島を求める県民の思いから目を逸らし、日米同盟の名の下に”これからも基地の負担が続く”と釘を打ち込む思惑も透けて見えます。
あわせて読みたい記事