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世界自然遺産登録から1年 IoTで進化する希少生物保護の取り組み

沖縄本島北部や西表島が世界自然遺産に登録されて26日で1年です。。いまやんばるの外来種マングースの判別に情報通信テクノロジー・IoTが活用され捕獲に向けた取り組みが大きく進化しているようです。

去年7月26日「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」がユネスコの世界自然遺産に登録されました。

本島北部にのみ生息し絶滅危惧種に指定ハナサキガエル。乱獲や外来種の脅威によって数が減少しているクロイワトカゲモドキ。絶滅が危惧されているヤンバルクイナ。

やんばるの森にすむ生き物たちを守るため課題となっているが外来種の対策です。ヤンバルクイナを捕食するマングースを捕まえるのは一筋縄では行きません。

情報通信テクノロジーIoT導入で進化したマングース対策の最前線に迫ります。

環境省と県は2000年から外来種マングースの防除事業を続けています。その捕獲方法は主に罠。周囲には24時間自動で撮影するカメラを設置しています。

このデータを解析しているのが島嶼生物研究所の研究員・手塚彩門さんです。

島嶼生物研究所研究員・手塚彩門さん「マングースはこの罠周辺でどういう動きをしているかどうかを把握する。餌の匂いに反応するんですけど入らなかった。そういうときもあるんですね。その場合も全部データになりますので記録します。」

後間アナ「県内にどれくらい罠の数があるんですか」「?いま140台ですねカメラは半分設置してます。70台です。」

大宜味村塩屋から東村の福地ダムにかけてマングースの侵入防止柵が設置されている「SFライン」より北の地域のマングース根絶を目指す県や環境省。

2020年度に捕獲されたマングースは33匹と、最も多かった2007年度の19分の1と成果をあげていてマングースが捕獲されるエリアも年々狭くなっています。

完全に排除するためにはさらにマングースの生息域を絞っていく必要がありますが、捕獲数の減少は新たな課題も生まれています。

手塚さん「またネズミですね。300枚から500枚までいったんですけどこのフォルダだけでもう900枚ぐらいあるんですね。よく目が疲れます、眠くなります。」

1か月間に撮影される写真データは2万枚以上。マングースが映っていないか1枚1枚確認すると3日もかかります。さらに目視で確認する作業は簡単じゃありません。

「次の写真でマングースはどこに写っているでしょうか?ヒントは右上です。」
「これ?」「正解ですね。本当に見えにくいと思いますけど拡大したらマングースのお尻なんですよ。」

「ちなみに手塚さんは何秒くらいで見つけられました?」「5秒くらいでした。慣れですね。」

マングースが映っているのは2万枚の写真のわずか1割ほど。生息数が順調に減る一方、目視での仕分けは取りこぼしの恐れがあり研究員の負担大きいままです。

こうした状況を聞きつけ協力を申し出たのは情報通信テクノロジー・IOTを活用した自然保護プロジェクトを進める沖縄セルラー電話です。

沖縄セルラー電話渡真利光訓さん「この大量の画像を人手で仕分けしているという課題を伺ったそこに当社が持つ通信を活用した新しい技術をここで貢献できないかということで取り組みを開始した。」

今月から導入されたのは写真にマングースが写っているかどうかをAIが自動で判別するシステムです。これにより3日かかっていた仕分け作業がなんとたった1時間に短縮できました。

手塚彩門さん「すごく早くなりますとても嬉しいですね。何時間かかる作業も10分で終わらせたのですごいと思いました。」

手塚さんが確認するのはAIが自動判別したデータのみとなり二重のチェック体制となったことで、より正確なマングースの生息状況の把握や効率的な罠の設置につながることが期待されています。

仕分けの精度をさらに高めるため続けているのは、マングースが写る写真にラベル付けをしてAIに学習させるアノテーションという作業です。

後間アナ「AIだから全部自動でパッとやってくれるのかなと思ってたんですけど人の手で1回学習させてからなんですね。」

沖縄セルラー電話冷水晴香さん「色んな撮影地点の背景とかも学習に混ぜて偏りなく勉強させるというところが大事です。」

やんばるで20年以上にわたりマングースの防除事業に取り組んできた金城道男さんは最新のテクノロジーの導入を高く評価します。

金城道男さん「この技術で簡単にそれが識別できれば本当有難いですよね。色んな企業がそれぞれの得意分野で自然の保全に寄与してくれるっていうのは本当ありがたいですね。」

金城さんはいつかシステムを使ってもやんばるの写真からマングースの姿が確認できなく日を心待ちにしています。

「何年もそこで写らないっていう風になればそこはいないんだろうなっていう。」

沖縄セルラー電話渡真利さん「今後は沖縄の希少生物の生体の調査。例えばヤンバルクイナであったりケナガネズミであったり、こういったものの検出モデルを作っていきたい。」

世界に誇るやんばるの森。そこに住む貴重な生き物を守る取り組みは情報通信テクノロジーで日々進化しています。

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