公開日

物価高騰あの世にも!? 旧盆に欠かせないグソー(あの世)のお金「ウチカビ」

ご先祖様があの世へと戻ってもお金に困らないようにと、ウークイの日に焚き上げるウチカビ。

あの世のお金はどのように作られているのでしょうか。

▽永田裕介記者
「ウチカビを作っている工場に来ました、なぜウチカビと呼ばれているかご存じでしょうか。模様を紙に打つ、打つ紙、ウチカビ、と呼ばれるようになったのです」

▽昭和製紙・阿嘉聰工場長
「各家庭にこういった手製なんですけどもありまして、これを打っていたということで、作っていました」

グソー(あの世)のお金はかつてそれぞれの家庭で作られていたのです。

▽昭和製紙・阿嘉聰工場長
「私も小学生の頃打っていた覚えがあります。もうかれこれ50年以上(前)ということになります」

銭型の模様を「紙に打つ」、ここにウチカビと呼ばれる由縁があります。

工場では特注で作った専用の機械でウチカビを製造していて、鳩目銭と呼ばれる銭型の模様をつけていきます。

旧盆前やシーミーの時期は連日大忙しで、1日あたり4300束を製造・出荷しています。

最後の仕上げに作り手のある工夫が施されていました。

▽昭和製紙・花城明香さん
「束ををいったん締めて、ほぐしながら空気を入れて燃やしやすくするようにしてます」

こうすることで焚き上げた際にけむりが高く上がり思いが天まで届くそうです。

ところで、ウチカビの価値を知っていますか?工場長に聞きました。

Qウチカビの価値は?
「諸説ありますけども、(鳩目銭1個が)20万円で、それが100個あるので1枚で2000万円。5枚1組ですので、約1億円ということで当社の方では案内しています」

円安やエネルギー価格の高騰で、工場でも電気代や燃料の費用が上昇し経営を圧迫していますが、ウチカビの卸し価格は据え置いています。

Qグソー(あの世)でも円安や物価高の影響を受けている?
「この世と連動していると思いますので、あの世の方もちょっと円安で困ってるんじゃないかな。(ウチカビを)もっとたくさん上げてもらって、ご先祖様に送ってもらいたいなと思います」

新型コロナが感染拡大してから伝統行事は規模の縮小や中止を余儀なくされる状況が続いていますが、沖縄が先祖代々繋いできた風習を絶やさぬよう、ウヤファーフジ(ご先祖様)を敬う心をウチカビへ託してほしいと阿嘉工場長は話します。

▽昭和製紙・阿嘉聰工場長
「このコロナ禍でありますけども、やはり亡くなった方、ご先祖様へ思いを馳せて、ぜひ各家庭でお祈りしながら送ってほしいなと思います」

家族の礎を築いたウヤファーフジへの感謝の気持ちを込め、ウークイの13日は県内各地でウチカビのけむりが夜空に上がります。

あわせて読みたい記事 ヤンバルクイナ

あなたへおすすめ! クマノミ 小 クマノミ 大きい