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「基地が取り組む政治問題に」内部メールで判明 PFASの重大さ把握していた米軍 

北谷浄水場などから人体に有害な有機フッ素化合物PFASが検出されている問題。問題発覚直後のアメリカ軍のメールでは「嘉手納基地が取り組まなければならない政治的問題になる」と指摘されています。この文面とは裏腹に県の調査に一向にアメリカ軍は応じておらず、文書を入手したジャーナリスト、ジョン・ミッチェルさんは軍が問題を認識していた事実を隠蔽しようとする姿勢が浮き彫りになったとしています。

6年前の2016年1月、有害物質PFASによる水の汚染問題が県内で急浮上しました。

県企業局平良敏昭局長(当時)「平成26年2月以降、独自に調査を進めてまいりました。その結果PFOSが企業局の北谷浄水場の水源である比謝川や嘉手納井戸群において、他の水源と比較して高濃度で検出され・・。」

沖縄市や那覇市など中南部の7つの市町村に水を供給する北谷浄水場の水から検出されたのは、アメリカ軍が使用してきた泡消火剤に含まれる有機フッ素化合物PFAS。

自然界では殆ど分解されないことから「永遠の化学物質」とも呼ばれ、発がん性など人体への悪影響が指摘されている有害物質です。

県は基地内が汚染源の蓋然性が高いとして立ち入り調査を求めていますが、アメリカ軍はこれに応じていません。

こうした中、問題が発覚した直後から嘉手納基地が汚染源である可能性をアメリカ軍が認識していたことがジャーナリスト・ジョン・ミッチェルさんの入手した軍の内部メールによって明らかになりました。

ジョン・ミッチェルさん「このメールによってアメリカ軍が嘉手納基地からの汚染を認めていたことがはじめてわかりました。これは非常に重要なことで、軍に責任があることを示しています。」

メールには「嘉手納周辺の水域にPFOSが存在する場合、基地に起因するものである可能性が高い」と記されています。

県が北谷浄水場でPFASが検出されたと発表した2日後には、基地が汚染源である可能性を認識していたのです。さらにその翌日のメールには「これは嘉手納基地が取り組むべき政治的問題になる」と綴られています。

ジョン・ミッチェルさん「私はこれらの報告書を得るために軍と交渉するのに多くの時間を費やしました。」

請求からおよそ2年4カ月かかって入手した内部メールは黒塗り部分も多くありました。

「黒塗り部分の量、そして情報を公開するまでにかかった時間。軍がどれほど懸命にこの問題を日本に隠蔽しようとしていたかがわかります。」

PFASによる汚染は普天間基地周辺の湧き水や、キャンプハンセンを抱える金武町でこれまでに水道水や河川で確認されています。

北谷浄水場で検出されているPFASについて2016年には嘉手納基地が汚染源の可能性が高いことを認識しながらもアメリカ軍は、県が求めている基地内への立ち入り調査を拒み続け、原因の究明や対策を何ら講じていません。

玉城知事「当時から米軍当局も県と同様の認識を持っていたにも関わらず、報告を意図的に削除したうえでさらに何ら対策実施せず、また県の立ち入り調査も認めないなど、汚染を放置し続けている状況については我々は大変遺憾であるというように思います。」

この問題については住民の血液検査の実施や、普天間基地に隣接する小学校土壌の独自調査に乗り出すなど市民が活動を続けています。

ミッチェルさんは今回の報道はアメリカ軍の問題への向き合いを知る一歩に過ぎないとして、軍の認識が明らかとなったことを受けて日本政府は国民の飲料水が汚染されたことへの責任を追及しなければならないと指摘します。

ジョン・ミッチェルさん「日本政府の仕事は基地内に立ち入って汚染について調べ、軍が持っている情報をチェックし、沖縄で広範囲に広がっている汚染について彼らの責任を追及することです。」

12日の会見で玉城知事は、アメリカ軍と日本政府は調査と総合的な対策を実施すべきと指摘しました。

玉城知事
「今回の報道を受けて、米軍および国はただちに県が求めている立ち入り調査を認めるとともに、米軍および国による調査と総合的な対策を実施すべきであると指摘しておきたい。」

県はこれまでも国に対し基地内への立ち入り調査の実現するよう要請しています。実効性のある対策をアメリカ側に迫る必要が日本政府にはより一層求められています。

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