沖縄県知事選 投開票まで2日 各候補の訴えと選挙戦術は

11日投開票の沖縄県知事選挙に立候補しているのは届け出順に前の衆議院議員で新人の下地幹郎さん、自民・公明が支援する新人の佐喜真淳さん、県政与党勢力などが支援する現職の玉城デニーさんの3人です。
8日から三日攻防に入った選挙戦は熾烈な集票合戦が続いています。
下地幹郎さんは、普天間基地の移設問題で馬毛島への訓練の移転、経済振興では規制緩和で民間主導を図るなどと独自路線をアピールしています。
▽下地幹郎候補
「二つの選択肢しかありません。首を垂れて予算をください、整備をくださいという。沖縄に復帰51年目からなるんですか。もう自分たちで頑張ってやってみよう。そういう沖縄になるんですか。その選択肢で皆さんどっちが良いと思いますか」
自民・公明が支援する佐喜真淳さんは、政府との対話の重要性を強調しながら子ども特区の導入や経済危機突破、県政交代を訴えます。
▽佐喜真淳候補
「私は政府に対して県民側に立って予算を勝ち取るし、公共投資、公共事業、そしてソフト、ハード含めて、全ての県民が予算が享受できるような、そういう50周年の新たなスタートを、沖縄県知事として私は働きたい」
現職の玉城デニーさんは「辺野古移設反対をあきらめない」と強調し、現職としての知名度や実績を前面に打ち出し県政の継続を訴えます。
▽玉城デニー候補
「これが沖縄県民の力だと。民意だということを堂々、政府に申し上げたい。沖縄県政の次の4年間、未来のための4年間、政府に対して、辺野古新基地建設反対というその民意の4年間。諦めない、諦めないことは勝つこと」
■普天間基地の辺野古移設をめぐるスタンス
今回の選挙のそれぞれの訴えの中で違いが明確なのが普天間基地の移設問題についてです。
下地さんは普天間の機能を鹿児島県の馬毛島に移転し、また軟弱地盤が見つかった大浦湾側の埋め立てを止めるとしています。
佐喜真さんは辺野古が唯一とする政府の計画を容認し、その上で普天間基地を2030年までに返還させると訴えています。
玉城さんは移設に明確に反対し、軟弱地盤の存在などを理由に工事の実現性を疑問視しています。
■各候補の選挙戦
政党などの支援を受けない下地さんは独自色を出した選挙戦を展開してきました。
動画サイトで無党派層や若年層への浸透に力を入れています。
佐喜真さんは大票田の那覇市での遊説を中心に、統一地方選と連携しながら土曜日までの期日前投票の呼びかけに力を入れています。
玉城さんは現職の知名度を生かして自らの出自や人柄をアピールし、3日攻防に入ってからは那覇市や豊見城市宜野湾市で演説し支持を呼びかけています。
■今回の選挙の位置づけ
これまで選挙で争点とされてきた普天間基地の辺野古移設については2018年12月に土砂の投入が始まって以降、初めての県知事選挙です。
3人の候補はそれぞれ辺野古移設へのスタンスと違いを明確にしていて、今回の選挙でも辺野古移設問題は大きな争点の一つとなりそうです。
新型コロナウイルスが流行し、リーディング産業の観光をはじめ県経済はかつてない冷え込みと言われています。
落ち込んだ県経済をどのように立て直すのかが次の知事にはその手腕が問われています。
■情勢は
告示翌日の先月26日から3日間沖縄テレビなどが実施した情勢調査では、玉城さんが無党派層への浸透で先行し佐喜真さんが追う展開となっていて、下地さんは伸び悩んでいます。
約2割弱が投票先をまだ決めていないと回答していて、情勢は流動的です。
■台風12号の影響
県選挙管理委員会によりますと先月26日から始まった知事選の期日前投票は今月4日までに5万359人が投票を済ませていて、前回4年前の知事選よりも約4万4500人下回っています。
県選管は低調だった要因として台風11号が先週末に接近したことや統一地方選が告示されてから投票に行くことを検討していた人も多かったと見ています。
再び台風が接近し当日の悪天候が予想される中、それぞれの選対は期日前投票を利用するよう呼びかけに力を入れています。
各陣営が重視する無党派層が投票所に足を運ぶかどうか、当日の票の伸びも結果に影響すると見られます。
本土復帰50年を迎えた沖縄でこれからの未来をどのように描くか。
有権者は一票にその思いを託し、選ばれる次期知事には公約の実効性が求められます。
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