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国葬をめぐる経緯から民主主義を問う

国会審議を経ずに閣議決定で実施に踏み切った岸田総理。
時の権力の判断で政策を進める政治の問題点が改めて浮き彫りになりました。

▽岸田総理
「我が国、憲政史上最も長く政権にありましたが、歴史はその長さよりも達成した実績によってあなたを記憶するでしょう」

国葬で弔辞を述べた岸田総理。

岸田内閣は元総理が死去したわずか6日後に国葬を行うことを発表し、それから1週間余りで閣議決定しました。

国民が納めた税金を使うにも拘わらず国権の最高機関である国会に諮られることなく決まった国葬。

今月FNNが実施した世論調査では調査では国葬に「反対」と答えた人が62%に上り「賛成」の2倍近くになりました。

岸田総理は元総理の在任期間の長さや外交・経済政策における実績などを理由に挙げましたが、国葬の根拠となる法整備を求める必要とする野党の要求に応じることはありませんでした。

▽沖縄国際大学・前泊博盛教授
「本来国会で審議して議論をして決める問題までも、閣議決定だけで行ってしまうと国会の機能低下、内閣が主導して政治を行うという非常に危険な状況になっている」

内閣の決定で国策を推し進める姿勢は沖縄への基地政策にも共通しています。

▽沖縄国際大学・前泊博盛教授
「いくら民意を示しても政治が変わらない。そういう意味では国葬問題と辺野古問題は共通するところで言うと民主主義民意を無視する政治が浮き彫りになる二つの事案だと思います」
「国民が何を言っても変わらない。内閣そして決めたことを強行してしまう。それに対する歯止めが何もないという非常に怖い状況が、日本の政治の中にすでに根付いているということが明らかになった国葬問題だったと思います」

各メディアが実施した世論調査で国葬に反対する声が賛成を上回る中、国民が納得できるような説明を十分に尽くされたとは言えません。

言論法に詳しい専修大学の山田教授もこうした政治のあり方に警鐘を鳴らします。

▽専修大学・山田健太教授
「(元首相が)凶弾に倒れてからわずか一週間のうちに国葬の実施を決めて、丁寧に説明すると言っても実際そうなっていない。法案の審査でもそうですし政策もそうですし様々な部分でそういう強硬的な政治手腕がついてきている」
「新しい(岸田)政権になって変われば良かったが変わらなかった。一方的にトップの考え方が押し出されてそこに対話がないということが非常に残念」

政権の意向に反する意見に耳を傾けず政策を強行する政治が民主主義に則したものと言えるのか。

元総理の国葬は時の権力による恣意的な判断で国策を推し進めることの問題点を改めて表面化させました。

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