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沖縄向き合う宿命も 天皇皇后両陛下が沖縄訪問に込められた思い

天皇皇后両陛下が即位後初めて沖縄を訪問されました。そろっての訪問は25年ぶりで、天皇皇后として苦難の歴史を歩んだ沖縄に心を寄せていく意義深い一歩となられたようです。

沖縄を訪問された天皇皇后両陛下。23日宜野湾市で「美ら島おきなわ文化祭」の開幕式に出席されました。

「地域や世代を超えた交流の輪が広がるとともに、広く国民の間に沖縄に対する理解が一層深まる大会となるよう期待しています。」

フェスティバルでは沖縄の辿った歴史を伝統舞踊や歌、映像などで表現した“時代絵巻”が披露されました。このあと両陛下は子どもたちとの交流も深められました。

2人そろっての訪問は25年ぶりとなる両陛下はどうしても沖縄を訪れたいという強いお気持ちを持たれていたといいます。

フジテレビ皇室担当橋本寿史解説委員「天皇皇后両陛下は、上皇ご夫妻の沖縄に寄せる心を継承されてきました。上皇ご夫妻が沖縄に心を寄せる姿を見ながらさらにご自分たちでも機会があるごとに沖縄について学ばれてきた。」

特別な思いを持ったものであることを示すのは両陛下が到着後、糸満市摩文仁へと真っ先に向かわれたことです。沖縄戦で亡くなった18万人以上の遺骨が納められている国立沖縄戦没者墓苑では花を手向け静かに拝礼されました。

天皇を中心とする国の形国体護持のために捨て石とされ、苛烈な地上戦によって住民の4人に1人が犠牲になった沖縄戦。戦争を体験した世代が天皇や皇室に対する複雑な感情を抱く中で、皇太子時代を含め11回にわたり沖縄を訪れ心を寄せてきたのが上皇ご夫妻でした。

両陛下と懇談した沖縄戦の遺族や生存者は沖縄との向き合いをどのように受け止めたのでしょうか。

県遺族連合会照屋苗子さん
「遺族のひとりひとりにお声掛けをしてくださったことは、上皇ご夫妻のように沖縄にお心を寄せてくださっている。遺族のひとりとしては本当に感謝いたしております。」

県平和祈念資料館では沖縄戦の悲惨さを物語る写真や資料などを一つ一つ丁寧にご覧になられたということです。

県平和祈念資料館前川早由利館長
「大変優しいまなざしで沖縄戦の状況を本当に熱心によく理解しようとしているお姿が非常に印象に残りました。」

フジテレビ皇室担当橋本寿史解説委員
「両陛下も上皇ご夫妻も戦争を体験した世代が減っていく中、戦争の悲惨さが風化し忘れられてことを一番懸念されています。ただ上皇ご夫妻と決定的な違いは、戦争を見た世代か、そうでないかということです。天皇皇后というお立場は沖縄と向き合わなければならない宿命がある。」

訪問を終えられた天皇陛下は侍従を通じ、「沖縄戦の悲惨さや私たちが享受している平和のありがたさを思い、改めて平和の大切さを心に刻みました」とお気持ちを述べられました。

本土復帰50年を迎えた沖縄。両陛下のご訪問は苦難の歴史と平和の意義を再認識する場であったともに天皇皇后という立場で沖縄と向き合う第一歩を踏み出された重要な意義を感じさせるものでした。

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