運用は不透明なまま 軍港の位置など合意 那覇軍港の浦添西海岸移設
那覇軍港の浦添西海岸への移設を巡って県や那覇市、浦添市は軍港の位置や形状について25日国と合意しました。しかし、移設後に機能強化につながらないか移設計画の全容は不透明で有識者から疑問視する声が上がっています。
25日オンラインで開かれた国や県、那覇市、それに浦添市が参加した移設協議会。この中では移設する施設の位置と形状について政府が提示した案でアメリカ側と調整を進めることに異存はないことを確認しました。
その上で県からは、環境に最大限配慮し移設面積を可能な限り縮小することや、代替施設で航空機の離着陸や訓練を一切行わないよう求めたということです。
登川二奈記者
「国と県そして地元自治体が容認した移設案では浦添のショッピングセンターの真向かいにある浦添西海岸の沖合に代替施設を建設する予定です。」
移設案では那覇軍港の代替施設を民間の港の北側に配置し、浦添西海岸の沖合およそ49ヘクタールを埋め立て、アクセス道路で陸地と繋ぐほか新たな防波堤も設置するものです。
地元の人は「前からそんな話はありましたよねいま決まったんだっていう感じ、無い方が綺麗かなと思いますけど。」「もったいないとおもいます今からの人たちに残したいですよね。」
軍港の位置や形状について合意された一方で、その運用を巡っては国と地元で考え方の違いが浮き彫りになっています。
嘉数知事公室長
「那覇港湾施設で行われる運用や訓練は代替施設においても想定されうるものと考えているということが(防衛省から)ありました。県の考え方それから防衛省の説明って言うのは完全に一致している所ではない。」
長らく遊休化していると指摘されてきた那覇軍港では去年から今年にかけて突如、オスプレイを使った訓練や銃器を所持しての要人警護の訓練が実施され県や那覇市が強く抗議しました。
訓練について国やアメリカ軍は施設の「使用主目的」に沿ったものだと強調していて、代替施設である浦添移設後も訓練が継続される可能性があるほか、艦船や原子力潜水艦の寄港などアメリカ側の運用が定かでない部分も残されたままです。
有識者は軍港の運用が不透明なまま県や地元自治体が合意したことを疑問視しています。
前泊博盛沖縄国際大学教授
「いまの那覇軍港ですら港湾施設の機能ですら超えて都市型訓練と言うような施設の使い方、演習地として使っているわけですね。ある意味それが容認されているわけですから、浦添に移る軍港が同じように演習場として使われてもやむを得ないというそういう前提を沖縄県も那覇市も浦添市も認めているという事になりかねないですね。」
前泊教授は浦添市のキャンプキンザー・牧港補給地区の返還がすでに決まっている中で軍港を移設する理由も明確ではないと指摘します。
今回の代替施設案の合意を受けて日米両政府は合同員会に諮りマスタープランの作成や環境アセスメントなどに着手する方針です。
一方、那覇軍港の返還は浦添移設が条件となっていますが、県の試算で17年かかる見通しでその間、アメリカ軍が那覇軍港の機能強化を図ることがないかなど注視していく必要があります。
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