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【解説】オートバイ高校生失明事件 捜査が難航した背景とその焦点

今年1月、沖縄県沖縄市でオートバイに乗っていた高校生と警察官が接触し高校生が失明した事件は発生から9ヶ月が経っての書類送検となりました。

当時現場にいたのは高校生と男性巡査の2人だけで、防犯カメラもなく目撃者もいませんでした。

高校生は「警察官に棒のようなもので殴られた」と話す一方、男性巡査は「手に警棒を持った状態でオートバイを止めようとしたがどこに当たったかわからない」と釈明し、双方の認識に食い違いがありました。

このため警察は男性巡査が手にしていた警棒が高校生にあたった角度を検証したり、専門家からの意見を聞いたりするなど客観的な証拠を積み重ねる必要があり、捜査に時間を要しました。

捜査では男性巡査が接触した行為が故意だったかどうかが焦点なりました。

警察は業務上必要な注意を怠り人に怪我をさせた場合に適用される「業務上過失致傷罪」と、警察官などが職務を行うに当たり暴行などを加えて怪我をさせた場合に適用される「特別公務員暴行陵虐致傷罪」のどちらの容疑を適用するか慎重に調べを進めていました。

刑事事件に詳しい沖縄国際大学の中野正剛教授は「(男性巡査に)少なくとも相手にけがを負わせるかもしれないという認識はあったと警察としては見たのではないか」という見解を示しました。

失明という重大な結果をもたらしたこともあり、捜査が始まった当初から捜査幹部は「男性巡査を庇うつもりはない」と厳正に対処する姿勢を強調していて、その結果男性巡査がオートバイを止めようとして高校生に掴みかかったと結論付け、故意によるものだったと判断しました。

県警の壱岐恭秀警務部長は「このような事案が二度と起こらないよう、職員への指導監督を徹底し、再発防止と県民の信頼回復に努める」などとするコメントを発表しました。

捜査幹部は報道各社に「起訴されることを前提とした送検だ」と説明していて、今後は検察が起訴するかどうかの判断が注目されます。

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