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大国の狭間で 沖縄県民の国防・安全保障に関する認識は

「大国の狭間で・~沖縄から安全保障を問う~」
政府の安保関連3文書の改定を県民がどのように受け止めているのか沖縄テレビとJX通信社がこの週末に実施した世論調査から読み解きます。

沖縄テレビとJX通信社は14日・15日の2日間、県内全域を対象に電話でアンケートを実施し県民542人から回答を得ました。

敵のミサイル発射基地などを直接攻撃できる「反撃能力」の保有が日本がこれまで維持してきた専守防衛から逸脱するか聞いたところ
「逸脱すると思う」は45.76%:「思わない」は29.34%でした。

反撃能力について
「持つべきではない」は40.96%、「持つべきだ」は38.75%と評価が分かれました。

専守防衛を逸脱すると考える人の割合が多い中でも反撃能力の保有を認める評価が拮抗していることについて、沖縄国際大学の前泊教授は次のように分析します。

▽沖縄国際大学・前泊博盛教授
「反撃能力を持つということはイコールこれは反撃される可能性を高める。そういうことに繋がるということは認識されているので、どうした方がいいんだろうかっていう揺れがここにあるような気がします」

一方、FNNが先月に実施した全国の世論調査では反撃能力を持つべきと答えた人が6割を超えました。

▽沖縄国際大学・前泊博盛教授
「(安全保障を)日本全体の視点で見るのか、当事者として沖縄の住民の側から見るのかってのは大きな違いがあると思います。ですから揺れがあるのは日本としてどう考えるのか、でも当事者の沖縄としては違うよねと」

自衛隊の増強されることで沖縄が他国から攻撃される可能性が以前よりも高まっているを聞いた質問では、「高まっていると思う」と答えた人が6割近くに上り沖縄が再び戦場とならないか懸念が強まっていることが伺えます。

▽沖縄国際大学・前泊博盛教授
「国民の中の多くが傍観者的立場でこれを読んでいる。そして当事者として沖縄だけが戦場になるのはどうしたらいいんだろうかという、そういう危機感を持っている。そういう温度差が非常に大きく出ています」

自衛隊の増強が抑止力の向上につながると思うか聞いた質問では
「つながると思う」と答えた人は37.64%,「つながらないと思う」45.76%でした。

沖縄における自衛隊の今後の在り方については
「増強や機能強化を進めるべき」「現状のままでよい」が合計52.03%
「縮小すべき」「すべて撤去すべき」の合計が37.82%でした。

これを年代別でみると縮小や撤去すべきと回答した人が60代以上で多かったのに対し、50代以下は自衛隊の増強や機能強化に肯定的な回答が多くみられました。

前泊教授は世代間によっての認識の違いも浮き彫りになったと指摘しています。

▽沖縄国際大学・前泊博盛教授
「特に50歳以下と50歳以上の方たちで、台湾有事に関する危機感とか、あるいは自衛隊の役割とか、あるいは日米の連携についても評価が割れるという世代間のギャップがあるような。米軍との安保体制がかなり沖縄でも定着してるのかなという意識ですね。安保に対する評価が復帰50年間の間に大きく変質してきている様子がこの調査では見えてきますね」
「傍観者として軍事力の増強を是とするという見方と、当事者として軍事力は自分たちの命を守らない、むしろ危険にさらすという判断、この二つがこの調査の中にも浮き彫りになってますね」

抑止力を大義名分とした軍備増強ありきの安全保障政策が本当に国民の命を守ることになるのか。

日本全体が当事者だという意識を持って議論を深めていくことが求められます。

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