繁殖のため帰ってきたクジラたち 居心地よい海を目指して
慶良間諸島の海には繁殖のためクジラたちが帰ってきました。ホエールウォッチングの季節を迎え、クジラたちの居心地の良い海を心がける人々の取り組みも取材しました。
沖縄本島から船で50分、国立公園に指定された慶良間諸島「ケラマブルー」と称される美しい海が多くの人々を魅了します。この海に、今年もクジラがやってきました。
座間味村ホエールウォッチング協会大城晃会長「一番の特徴は地球規模で移動するんですよ。夏の間はもう太平洋でいうと北極海あたりオホーツク海あたりで餌を食べてそして故郷の海に戻ってきて子供を産むと。」
クジラの生態については、今もまだ謎が多く座間味村ホエールウォッチング協会は研究機関と連携して生態の解明を進めています。
「見分け方はクジラの尾ビレの裏側の模様がそれぞれ全然違うんですね、それと周りのギザギザの輪郭それと合わせてマッチングさせていってこの個体は新しいものだ。これは何年前に来たというのがデータ上でわかります。」
多くのクジラが慶良間の海に帰ってくるように協会ではクジラとの関わり方にも力を入れています。
「私たちはホエールウォッチング設立当初からクジラにやさしいウォッチングっていうのをテーマに彼らがその繁殖に帰ってくる、いわゆる故郷の海だということを意識して(船の方から)100m以内には近づかないでおきましょう。」
「一番大きなのは水面からはクジラを見ない海中遊泳はしないっていうものをずっと守っていまして、ずっと30年以上やってきてるんでそれがむしろクジラにとって住み心地が良い場所になってると。」
その他にも親子クジラのウォッチング時間を制限するなど独自のルールを取り決めています。このような取り組みもあり今では多くのクジラが毎年慶良間の海に姿を現しますが、過去にはクジラがまったくやってこない時期が。
「いわゆる捕鯨の漁場だったんすよ。1986年に国際捕鯨委員会がザトウクジラの捕鯨を禁止したんです。その後に徐々に増えてきて。」
クジラを探す宮村幸文船長。実は、1985年に2頭のザトウクジラを発見し再び座間味にクジラがやってきたことを確認した張本人。座間味のホエールウォッチングに大きく貢献した方です。
宮村幸文船長「海上タクシーの船長をしていたんですけど、いきなり横にクジラが出て来たんですよ。それまではクジラがいるなんてわからなかったからすごいビックリしました。そっからはもうとりつかれてクジラばっかり追っかけていましたね。」
このシーズンになるとクジラとの遭遇率が9割以上を誇る座間味のホエールウォッチング。どのようにクジラを探しているのでしょうか。協会のもう一つの努力とは。
探鯨スタッフ「クジラを見つけてウォッチング船に案内しているところです。双眼鏡で覗いてクジラが出す息継ぎのブロウって言ってますけど、それで位置を特定していく。」「いまブロウ出てるよ!」
こうやって別の高台にいる探鯨スタッフとクジラの位置情報を確認し、クジラの出現場所を船へ伝えます。
夫婦で参加「今日は思っていたよりも近くでクジラが見られたのと、あとは繁殖行動をしていたので座間味ならではの風景が見れたかなと思います。」
「クジラが泳いでいるのを見るだけだと思っていたんですけど上にば~っと出てきてくれたりして凄い楽しかったです。」
友人と参加「私3回目なんですけどオスの大きいこがあそこまで近くでジャンプするのを初めて見たんですよ。なんでめっちゃ(今後)ないくらいのを見れた楽しかったし、アドベンチャーだったね。」
「きょうは今年、今シーズンで一番良かったですね。ペアのクジラがいたんですけど、それに遠くの方から1頭のオスが近づいてきてメスが怒っていろんなアクションするんですよ。きょうは久々に良かったですね。しかもお客さんも喜んでいたのですごい良かったです。」
毎年、繁殖の為に慶良間の海に帰ってくるクジラ慶良間で生まれはぐくまれた命は今年もまた世界の海をかけめぐります。
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