戦争のデメリット如実　生活直撃する食品・エネルギー高騰　ウクライナ侵攻１年

２４日で１年となるロシアによるウクライナ侵攻について考えます。世界情勢の混沌は続き経済や産業など私たちの生活にも大きな影響を与えてきました。この１年の県内への影響を振り返ります。

２０２２年２月にロシアがウクライナに侵攻して以降、世界的なインフレが加速。食品やエネルギー価格は高騰しこの１年、度重なる値上げラッシュが私たちの生活を直撃しました。この波は今年に入っても収まる気配はなく、４月までに１万品目を超える食品や飲料が値上げされます。去年１１月には・・・。

沖縄電力・本永浩之社長「大変苦渋の決断ではありますが２０２３年４月から電気料金の見直しをさせていただきます」

沖縄電力は１９８０年以来となる電気料金の値上げを申請。ウクライナ侵攻や円安の影響による燃料価格の高騰が理由で、この春から一般家庭向けの場合値上げ幅が３９．３％、月の電気料金で３５００円もアップする見通しです。

電気料金や物価の高騰は農家にとっても死活問題です。

「沖縄の菊って電気がないと開花のコントロールができなくて、どうしても電気が必要なんですよね。」糸満市で電照菊の栽培を行う新垣大策さん。肥料の価格もこの１年で倍となっている中で電気料金の値上げはかなりの痛手になることが予想されます。

「だいたい午後１１時から午前３時の４時間とか、夏菊の場合は午後９時から午前４時の７時間とかどうしても（割引になる）深夜電力の枠から外れてしまう時間帯もある。経費はどんどん上がっていく中で、花の値段はそこまで上がっていないっていうのが現状です。」

価格への転嫁は難しく、キク栽培から手を引く農家も出てきているそうです。新垣大策さん「一気に値上げじゃなくて段階的に値上げするとか、もう少し支援の方を期間を長くするとか、どうしても電気が必要不可欠なものだから、そこはもう少し考えてほしいかなと思います。」

値上げの波は県民のソウルフードにも及んでいます。「値上げの波は高いですね、でもお客さんが来てくれているので凄く助かっています。」北中城村にある食堂「くわっちぃ食堂青空」。店自慢のメニューはほろほろになるまで柔らかく煮込んだ軟骨とあっさりとした豚骨ベースのスープが特徴の沖縄そばです。去年から続く物価の高騰が店の経営を直撃しています。

新里勇人店長「こっちでよく使うものは小麦と油。小麦が１キロ単位で使っているんですが、今の現状で２０～３０円ほど上がっています。油に関しては倍になっていますね。」

麺の原料となる小麦粉は、国内で流通している９割が外国からの輸入に頼っています。国際的な不作に加え世界有数の穀倉地帯であるロシアとウクライナの情勢の緊迫化を理由に去年４月、政府は小麦の売り渡し価格を２割近く引き上げました。

追い打ちをかけるように豚肉や油などの値段が上がり、新里さんは去年１０月苦渋の決断として沖縄そばの値段を５０円引き上げました。「それはもう本当に最終、我慢我慢しての値上げっていう状況。正直上げてお客さんが来なくなるのかなっていう不安は一番にありました。でもふたを開けたら応援してくれるお客さんが多かった。」

男性客「（値段が上がったとしても足が遠のくことはない？）全然！しょっちゅう。困っていればいつでも来るよっていうスタンス。家族連れ「美味しい」「だいたい安いので食べやすい、助かっています。」「（値上げしても）それでもだいぶ安いので。」

高止まりが続く小麦の価格が今後どうなるのか新里さんもその動向を注目しています。新里勇人店長「（値上げへの不安が）正直ないって言ったら嘘になるんですけど、それも見据えてどう営業していくかっていう、お客さんに満足してもらえるような料理を提供していきたいと思っています。」

帝国データバンクによりますと去年１年間で値上げされた食品などはおよそ２万６千品目に上り記録的なまさに空前の値上げラッシュとなりましたが、今年に入ってもすでに１万２千余りの品目で値上げが決まっています。

沖縄そばに欠かせない小麦ですが、今年４月に控えるその価格改定の動向が注目されています。小麦の売り渡し価格は去年４月に引き上げられ、去年１０月にも価格改定のタイミングがありましたが、政府が物価高騰に歯止めをかけるためにその際は、「据え置き」となった経緯があります。

今年４月に価格が引き上げられれば、パンなどの製品価格も上がり、私たち消費者もさらに目に見える形でインフレを実感させられることになるかもしれません。

ロシアによるウクライナ侵攻からまもなく１年です。これまで見てきたように、この戦争は単に遠い国の話ではなく私たちの暮らしや仕事に直結しています。そして戦争がもたらす負の影響がいかに大きいかを示しています。武力に頼らない、そして戦争を起こさせない外交が安定した国際社会を構築するために求められています。