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沖縄から祖国の平和祈る ウクライナ侵攻1年

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって22日で一年となりました。沖縄テレビでは戦火を逃れ沖縄にやってきたウクライナ人ツビリューク・ナディーヤさんとその家族の取材を続けてきました。多くの人に支えられながら沖縄で懸命に生きるナディーヤさんたちは祖国を巻き込み長期化する戦争に、いま何を思うのでしょうか。

うるま市の保育園、JOYキッズガーデンで働くウクライナ出身のツビリューク・ナディーヤさん。子どもたちに英語を教えながら保育の仕事をしています。

ナディーヤさん「すごい楽しいです。ウクライナの戦争で、悲しい気持ちになったり落ち込んだりしますが、保育園で子どもたちと触れ合い、元気をもらって明るい気持ちになります。」

2022年3月の暮れにやってきたナディーヤさんは沖縄の生活を気に入っているようです。「沖縄の食べ物が好きで、ゴーヤーチャンプルー、沖縄そば・・・エイサーもとてもおもしろいくて好きです。」

一年前はウクライナで家族とともに穏やかに暮らしていたナディーヤさん。しかし、その暮らしは続きませんでした。

ナディーヤさん「2月24日まででした。いま振り返ると私たちはもっと気を付けるべきでした。でもそのときは『大丈夫』『フェイクニュース』『戦争が起こるわけない』と思っていました。」

一年前の2月24日、ロシアがウクライナ東部をはじめ首都キーウへ軍事侵攻を開始。戦争が始まりました。

「朝起きて家で仕事をしようとしていたら、キーウに住んでいたいとこから電話が来ました。『戦争が始まった』と。私の将来には何が待っているのか、今後何をすればいいのかといろいろな思いが湧き上がりました。」

戦争が始まる前から沖縄で働くことが決まっていたナディーヤさん。家族より一足早くウクライナを発ち、4月から保育園で働き始めました。次第に一家が暮らしていたウクライナ西部の街も戦火が及ぶようになり両親と兄弟たちはナディーヤさんを頼って沖縄に逃れてきました。

ナディーヤさん「家族と一緒に居られることは本当に幸せです。私も私の家族も沖縄や沖縄の人々が好きです。沖縄の人々はとても親切で、必要なものがあれば何でも支援してくれる。そのおかげで今のところ特に困っていることがありません。」

妹のマリチカさんもナディーヤさんと一緒に保育園で働き始めました。

マリチカさん「保育園で働くのは初めてのことなので最初は不安もありましたが、実際に働いてみるととても楽しい、楽しくて仕方ないです。」

ナディーヤさんと家族は現在3世帯に分かれてうるま市のアパートと沖縄市の団地でそれぞれ生活しています。避難者が家を借りるには日本に住む身元保証人が必要で、それを快く引き受けたのがナディーヤさんが働く保育園の理事、宮平満さんです。

グレイス代表理事・宮平満さん「他人事だとは思えない。一日も早くこの戦争が収束することを願うと同時に、せめて沖縄に来ているウクライナの方々のために、戦争が落ち着くまでいろんなサポート。特に心のケアであったりサポートをできたらと。」

いまはナディーヤさんとマリチカさんに加え父のボロディミィルさん義理の弟のセルジオさんも保育園の働き手として受け入れ、宮平さんは仕事や収入面でサポートしています。

宮平満さん「(最初は)そんなに元気はなかったですよね。不安はあったと思いますね、表情も今のようには明るい感じはなかったと思います。次第に本人たちも沖縄に慣れてきて笑顔が増えてきたかなと思います。」

異国の地で懸命に生きるナディーヤさん一家。言語や文化の壁はありつつも地域の人々との交流も楽しんでいるといいます。この日ナディーヤさんとマリチカさんが友人とともに訪れたのは。

うるま市の赤道自治会が去年フラワーガーデンを造ろうと企画した「ひまわりの種まき」にナディーヤさんたちも参加しました。常に明るく誰とでも積極的に関わるナディーヤさんの姿は友人にも元気を与えています。

友人「ウチナーンチュよりウチナーンチュなんですよ。突拍子もなくあれ行こうとか、海行こうとか、ランチ食べようとか。それが嬉しい。」

ナディーヤさん「沖縄や日本の友達との触れ合いが幸せです。みんなとても親切でいつも家族や私のことを助けてくれます。」

「ひまわりを見るとウクライナを思い出します。」

戦争が長期化し収束の兆しが見えないロシアによるウクライナ侵攻。これまでに800万人を超えるウクライナ人が国外に避難、沖縄には23人が逃れてきましたが、故郷に帰れる見通しは立ちません。

戦争が始まって一年が経つのを前にナディーヤさんは今の気持ちをこう話しました。「とにかく一日も早くウクライナの戦争が終わってほしい。いま世界では戦争だけでなく地震などたくさんのいろんなことが起こっている。」

「いまは沖縄で家族と安全に過ごせていますが、ここで何も起こらないとは限らない。地球のどこに行っても平和を見つけるのはなかなか難しいのだと感じています。」

「ウクライナのために祈ります。そして、世界中の平和を祈ります。戦争は歴史の本の中の話や他国の話ではなく、わたしの国で起こっていることなんです。」


<きょう24日のJOYキッズガーデンの様子>

(男の子)「(ウクライナ語)おはよー!」

『平穏に過ごすこの瞬間もウクライナでは危険が続く』『1日も早く祖国に平和が訪れることを』『ナディーヤさんは心の中で祈っている』

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