F15退役でなぜ騒音激化? ローテーション配備・嘉手納基地の現状
嘉手納基地では退役するF15戦闘機に代わってF22戦闘機など外来機が暫定配備されていて、この動きに比例するように激しさを増しているのが騒音です。安全保障環境の変化が住民の暮らしを直撃する現状を取材しました。
嘉手納町。飛行する外来機F16戦闘機。
男性「最近多いなっていう感じはします、飛んでいる回数が。自分が帰ってくる午後10時とかだったらまだ飛んでたりしますね。」子連れの女性「寝かしつけた後にゴーっとなると起きたりとか、ぐずったりとかしちゃうので、もう一回寝かしつけたりとかそういうのはありますね。」
嘉手納町基地渉外課・小嶺さん「こちらが騒音測定器です。(Q騒音が増えているという体感は)そうですね体感もありますし、件数を集計していますので、数としても明らかに増えています。」
いま嘉手納基地で何がおきているのでしょうか。
今月22日かでな道の駅。當山宏嘉手納町長「騒音の発生回数がやっぱり増加していますので、その分は訓練が増えた結果だろうと。」
2022年10月、アメリカ空軍は嘉手納基地に配備されたおよそ50機のF15戦闘機を機体の老朽化を理由に退役させる事を明らかにしました。およそ2年かけて段階的に撤退させる計画で、去年12月に第一陣が、今月にも第二陣の合わせて16機が本国に帰還しました。
一方、能力の維持に向けてドイツの空軍基地などに所属する部隊をローテーションで配備するとし、去年11月以降、F22戦闘機14機、F16戦闘機12機がそれぞれ暫定配備されました。
この暫定配備に伴って倍増したのが騒音の発生回数です。
當山宏嘉手納町長「配備前の10月、そして11月以降の月平均の発生回数の比較では1.9倍だったんですね。増加に転じている。」
嘉手納町の調べによりますと暫定配備前に比べて騒音の発生回数は、滑走路にもっとも近い屋良地区で736回から1806回と2.5倍に増加。滑走路の延長線上にある兼久地区では463回から1238回と実に2.7倍に上っています。
住宅地近くなど町内4か所に設置された騒音測定器では「かなり大きな声を出さないと会話ができない」ほどの70デシベル以上の騒音の発生が記録されています。
嘉手納町役場・小嶺さん「80デシベルとか90デシベルとか、結構大きい音の騒音が増えているなというのは感じていますね。」
80デシベルは地下鉄の車内、90デシベルは騒々しい工場の中と同じくらいのうるささとされ、こうした騒音に住民は晒され続けています。
ロータリー近くに住む女性「特にね最近はひどい。昼とか朝とか時間関係ないみたい。外でこうやって話もできない。夜、もう寝ようと思って12時ぐらいからエンジン調整かね、こういうのをやっているの。だから窓を閉めていても聞こえるからそれがすごいさ。」
F15戦闘機の段階的な退役を発表したアメリカ空軍。その際、インド太平洋地域全体の平和と安定の確保のためより高度で新しい機体を配備する方針を示しましたが、これまでにF15戦闘機に代わる常駐部隊の配備は決まっていません。
當山町長は常駐機ではなくF-22戦闘機などローテンション配備による外来機の増加が激しさを増す騒音の要因になっていると見ています。
當山宏嘉手納町長「常駐機ですと、当然騒音防止協定も常習経路も遵守をしながら周辺住民への影響を極力減らすような形での運用をしてもらってるだろうというふうに思う。ただ外来機についてはなかなかそれが徹底されてないということもあって、騒音が増加する傾向にある。ですから基本的には外来機は来ないでくれということをこれまでも求めてきた。」
「基地に慣れるため」の訓練が住民への配慮なく繰り返され、また別の部隊が飛来することによって同じ状況が続くことを當山町長は強く懸念しています。
「日本の安全保障関係がかなり厳しくなっていることも、当然嘉手納基地の運用に影響してきいるんじゃないかと思いますので、ぜひそうした厳しい状況に早期の改善・安定化というのが我々にとっても必要だということだと思います。」
13日、嘉手納町議会では。
當山均議員「常駐機及び外来機が昼夜問わず断続的に離発着・飛行訓練を繰り返し、町全域に激しい騒音をまき散らしており、強い憤りを禁じ得ない。」
嘉手納基地基地の運用は受忍限度をはるかに超え、我慢を重ねてきた町民の怒りは頂点に達しつつあるとして外来機の飛来禁止などを求める抗議決議と意見書を全会一致で可決しました。
中国のミサイル能力向上によって基地が集中する沖縄の軍事的なぜい弱性が指摘される中、その存在感を維持するために地域住民を顧みない運用が続く嘉手納基地。基地負担軽減とは逆行する現状が改善される見通しはいまだたっていません。
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