術後わずか３日で退院 患者の負担減らす”ダヴィンチ手術”とは
子宮筋腫や子宮腺筋症といった女性特有の病気の治療法の一つとして、子宮や腫瘍を取り除く手術がありますが、女性の体にとって大きな負担となっています。
こうしたなか県内ではロボットを用いて最小限の切開で体への負担を軽減できる手術が始まっています。
看護師として働く富田なおりさん（４３）。
２年前から日常生活に支障をきたすほどの経血量の多さに悩まされてきました。
▽富田なおりさん
「生理のときはとってもたくさん出血するんです。それが本当にいっぱい出るのでお薬とかを飲んでいたんですけど、ひどいときは介護用のオムツをしても数時間で漏れてしまうので、もう仕事が全然身に入らないという感じで」
診察を受けた結果子宮筋腫であることが判明しました。
病院に通って治療を重ねても一向に改善せず、医師から子宮を全摘出する手術を勧められました。
▽富田なおりさん
「手術を提案されて、手術か・・・と思って。手術だったら手術した後からもうそういった生活は無くなるのよと言われて手術しようと決めました」
富田さんが受けることになったのは手術用のロボット「ダヴィンチ」を使った手術。
ダヴィンチはメスなどを取り付ける３本の細いアームと１本の内視鏡カメラが装着されていて、医師が操縦席から操作します。
ダヴィンチの大きなメリット、それは患者の体への負担を軽減できることです。
子宮を全摘出する際にこれまで一般的に行われていた「開腹手術で」は、縦に１０センチから最大で２５センチ腹部を切開する必要があります。
大量出血の恐れもあり大きな傷跡が残るため、術後の患者にとって精神的にも負担となっていました。
一方ダヴィンチを用いると細いアームを通すための８ミリから１．２センチの小さな穴を５ヵ所開けます。
▽上地秀昭医師
「開腹手術と比べるともう圧倒的に違うと思いますね。開腹だと１０センチ以上お腹切られますし、子宮の大きさによってはおへその上まで傷が大きくなることがあるんですけど、小さな傷何ヵ所かで対応できますので患者さんへの負担は圧倒的に違うと思います」
最小限の傷口で済むので手術時の出血はほぼ無く、術後の痛みも軽減することができます。
▽上地秀昭医師
「術後３日では退院できますし、人によっては術後２日で帰ったりすることもありますので」
富田さんも手術から３日で退院し１週間安静に過ごしたのち、元気に職場に復帰できました。
▽富田なおりさん
「（手術の）翌日は散歩とかして元気ですね、全然痛みもないし、もうなにもない。感覚としても自分の中の一部がなくなったという感覚もないんですよ。触れば傷はあるかなという感じですけど」
術後２ヵ月経ったあとの写真をみても傷口が小さいことが分かります。
この日は最後の診察でした。
上地医師「今回で術後３カ月で終了になりますので、今日で卒業」
富田さん「先生ともお別れです」
ダヴィンチは患者だけでなく医師にとっても画期的なシステムになっています。
▽上地秀昭医師
「３Ｄで奥行きのある画面でしたので全然違うなと。見ていてリアルな感じがしましたね」
従来の腹腔鏡手術で用いられていた２Ｄのカメラスコープとは異なり、ダヴィンチでは視界が立体的に見える３Ｄカメラとなっているためより詳細に体内を見ることができます。
▽上地秀昭医師
「手首以上に鉗子が動いてくれますので、思った通りの操作ができると感じています」
人間の手首は動きに限界がありますが、ダヴィンチのアームは自由自在に動かすことができ手ブレも起こらないため、手術の正確性も高いとされています。
操作のしやすさも大きなメリットであるダヴィンチ手術。
全く経験がない記者も操作することができました。練習で用いられるという小さな輪っかを掴み突起物に通すものです。
「実際はとても小さいのですがダヴィンチを通して見ると大きくはっきりと立体的に見ることができます」
▽上地秀昭医師
「手術がしやすいということが患者さんの安全に繋がっていくのかなと思っています」
中部徳洲会病院ではダヴィンチのさらなる活用に向け体制を整えていくことにしています。
▽大城吉則院長
「ロボットでできる手術はどんどん適用の数を増やしていきたい。できる医師をどんどん養成していきたい。これが当院の方針となっています」
手術を終えた富田さん。大好きなことも楽しんでいるようです。
▽富田なおりさん
「温泉がもともと大好きで。私、血が出ているからお部屋のお風呂で我慢しますという感じだったんですけど、（今は）大浴場も入れて。昔の楽しかった生活に戻れたなという感じがしました」
女性にとって体への負担が大きい子宮や腫瘍を摘出する手術。
負担を最大限軽減できる最先端の技術が治療の選択肢の一つとして普及し、今後さらに発展していくことが期待されます。
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