陸上自衛隊石垣駐屯地開設式典 懸念や不安をよそに運用本格化

先月石垣島に開設された陸上自衛隊の駐屯地できのう開設式典が行われました。
反撃能力を持つミサイル配備の行方やアメリカ軍との共同訓練など住民の懸念や不安をよそに運用が本格化します。
▽浜田防衛大臣
「先島諸島は我が国の防衛の最前線です」
2日に陸上自衛隊石垣駐屯地で開かれた開設記念式典には浜田防衛大臣や石垣市の中山市長が出席しました。
▽中山石垣市長
「自分の国を守る能力を有していることを周囲に示し、戦争を回避することこそが自衛隊の本質であると考えております。(石垣駐屯地の開設は)抑止力の適切な向上に資するものであり、有事の発生を防ぎ、平和な暮らしを維持し、国民の生命と財産を守ることにつながるものと期待をしております」
政府による南西地域の防衛体制の強化の一環で与那国島、宮古島に続いて先月16日に石垣島に開設された石垣駐屯地。
浜田防衛大臣は石垣島への自衛隊配備で「防衛の空白地帯は埋まった」と強調しました。
▽浜田防衛大臣
「力による一方的な現状変更を許容しないとの我が国の意思を示し、南西地域への攻撃に対する抑止力・対処力を高めることで我が国への攻撃の可能性を低下させるものであり、沖縄県民を含む我が国国民の安全に繋がる」
石垣駐屯地には八重山警備隊のほか、地上から敵の艦艇を攻撃する地対艦ミサイルや、空から飛来してきたものに対処する中距離地対空ミサイルを運用する部隊など570人が配置されていて、この日は発射装置を含む装備品が公開されました。
去年閣議決定された安保関連3文書にはいわゆる反撃能力の保有が明記され、政府は長射程ミサイルの開発を進めています。
政府は配備先などは決まっていないとしながらも石垣駐屯地への配備については「今後の状況は分からない」と含みを持たせています。
Q長射程ミサイルの配備予定は
▽浜田防衛大臣
「12式地対艦誘導弾の能力向上型を含む各種スタンドオフミサイルの具体的な配備先というのはまだ決まっておりません。地元に説明を実施するか否かについても今お答えをできる段階にはございません」
今年1月に行われた日米の外務・防衛担当閣僚による2プラス2で自衛隊とアメリカ軍の共同訓練を増やしていくことが確認されていますが、井上司令は石垣駐屯地で実施するかどうかは次のように述べました。
▽井上雄一朗駐屯地司令
「日米共同の使用や訓練といったものは現段階ではまったく計画されておりません。その上で日米共同というのは非常に我が国の防衛力、それから抑止力を高めていく上で非常に重要だと認識しております」
駐屯地前には自衛隊配備に反対する市民が集まり抗議の声を上げていました。
▽石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会・波照間忠共同代表
「強行に開設にこぎつけた、まだ完成もしていないのに開設するということは本当に遺憾でなりません」
▽沖縄戦体験者・山里節子さん
「道をふさぐなって、平和の道を塞いでいるのは自分たちなのに、こんなに刺激的なことをして、いつかみんなが立ち上がってNO!って言う勇気をもっていただきたい。島国ではそういうことが難しいことも重々承知の上だけど、でもどんな難しいことに直面しても命より大事なものはない」
地元住民が懸念や不安を募らせる中、石垣駐屯地の本格的な運用が始まっています。
あわせて読みたい記事