統合幕僚長「忸怩たる思い」 陸自ヘリ不明から1週間

今月6日、陸上自衛隊のヘリコプターが宮古島沖の海上を飛行中に消息を絶った事故から13日で1週間が経ちました。連日、自衛隊や海上保安庁の懸命な捜索が続いていますが行方不明となっている10人の安否は分かっていません。
事故発生から1週間となり、有力な手がかりがないなか会見を開いた自衛隊。
▽吉田圭秀統合幕僚長
「1週間経った時点で、まだ発見できていないという事には捜索・救助を担当する責任者としては忸怩たるものを感じている」
事故が起きたのは今月6日。陸上自衛隊第8師団の師団長や宮古島駐屯地の隊員など合わせて10人が乗ったUH-60ヘリコプターが午後3時56分に宮古島の西の海域で消息を絶ちました。
ヘリが消息を絶つ4分半前の映像では速度や高度は一定に保たれているように見え、3分前の午後3時53分の映像では右から左に向かって飛行する様子に異変は感じられません。
一方、防衛省が消息を絶つ数分前のヘリを捉えた映像を分析したところ、航空法の規定で飛行できる最も低い高度150メートル付近を飛行していた可能性があることが関係者への取材でわかっています。
消息を絶つ2分前の交信に異常はなかったことから、低い高度で飛行中に急激に落下したためトラブルに対応できなかったことも考えられます。
自衛隊は事故調査委員会を立ち上げたものの隊員や機体が見つからない中で事故原因の究明は難航が予想されます。
そして連日数百人体制で捜索にあたる自衛隊と海上保安庁。
自衛隊は機体の大部分が海底に沈んでいる可能性もあるとみてレーダーで機影が消失した地点を中心に捜索。
音波による探知機ソナーを使って海底を調べる掃海艇「ししじま」や無人潜水艦を搭載した「ちはや」を投入していますが発見に至っていません。
▽酒井良海上幕僚長(11日)
「海底地形等がサンゴにより複雑でソナーで探知したものも全てUUV(無人潜水艇)で確認していますで、時間等かかっていますが確実に機体を探知できるように努力を重ねたい」
多くのサンゴが点在する海底。さらに捜索を難しくするのが強い潮の流れです。※
▽第11管海上保安本部・木村琢磨海洋情報企画調整官(12日)
「ちょうど陸と陸に挟まれるような海域。そのような海域は一般的に潮流と呼ばれる潮の満ち引きによって発生する流れが強くなる傾向がある」
現場の海域は伊良部島の北側にある黒潮が入り込む複雑な潮流となっていることに加え、事故が起きた日は干満の差が大きい大潮の時期でした。
このため潮の流れが強まり沖へと流されたことも考えられることから捜索範囲を消息を絶った地点から西側へとシフトしていますが、有力な手がかりは見つからず日を追うごとにその範囲が広がっています。
10人が行方不明という痛ましい事故。捜索に協力した地元の漁師は
▽漁師(10日)
「みんな探す気持ちで行っている。1人でも2人でも見つかったらいいけど」
「待っている家族もいるので、見つかれば見つけたいと思う気持ちで行ってます」
事故発生から1週間、懸命な捜索が続きます。
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