高校生失明させた警察官 業務上過失傷害で起訴 高校生と家族「納得できない」
去年一月沖縄市でオートバイに乗っていた男子高校生が警察官と接触し失明した事件で、那覇地方検察庁は29日、警察官を業務上過失傷害の罪で起訴しました。
この事件は去年1月、沖縄市で暴走行為を警戒していた30代の男性巡査が当時17歳の男子高校生が乗っていたオートバイを止めようと警棒を持った状態で掴みかかり高校生に右目を失明する大けがをさせたものです。
警察は警棒が少年にあたった角度を検証するなど捜査で証拠を積み重ねた結果、男性巡査が高校生と故意に接触しけがをさせたと結論付け、去年11月に特別公務員暴行陵虐致傷罪で書類送検していました。
この事件について、那覇地検は男性巡査が男子高校生との接触を避ける義務を怠り、警棒を持った右手を男子高校生の前に差し出しケガをさせたとして業務上過失傷害の罪で在宅起訴しました。
業務上過失傷害罪は必要な注意を怠った場合に適用され、故意性が問われる特別公務員暴行陵虐致傷罪よりも量刑は軽くなります。
事件をめぐって男性巡査は当初の警察の捜査に対し「けがをさせた認識は無かった」と供述する一方、男子高校生は「突然現れた警察官に棒のようなもので殴られた」と主張していました。
当時現場にいたのは男性巡査と高校生の2人だけで、防犯カメラはなく目撃者もいませんでした。
刑事事件に詳しい松尾晋哉弁護士はこうした状況が警察と検察で判断が分かれた要因だとみています。
▽沖縄つばさ法律事務所・松尾晋哉弁護士
「確たる証拠が無いんだろうと思います。少年のけがの発生をさせる可能性がある行為を認識して、それでも構わないと思ってやっていたということが、立証できないということだと思います。注意義務違反というところを少なくともそれが認定できるので、そちらを立証できるということで業務過失致傷罪で起訴をしたということになる」
那覇地検は報道各社に「客観的な証拠が少なく、故意であることを立証することが困難だった」と罪を切り替えた理由を説明しました。
男性巡査の起訴を受けて当時の男子高校生とその家族は、弁護士を通して
「物陰から突然飛び出してきた警察官に殴られたと認識していて警棒が過失によって当たったとは考えられない。検察の起訴は県警の判断からも後退していて納得できない」
とコメントしています。
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