”給油所過疎地”ここにも 生活に欠かせないガソリンスタンドが閉店 沖縄・東村
本島北部東海岸に3カ所しかないガソリンスタンドの一つ東村の有銘SS。
37年前に開業し、地域住民はもちろんやんばるを訪れる行楽客にも利用されてきましたが、先月閉店しました。
住民は地域を支えてきたスタッフを労いつつ、重要な拠点がなくなることへの不安も口にしています。
東村唯一のガソリンスタンド「有銘SS」です。
広大なやんばるの土地で移動に欠かせない車の給油はもちろん、農家が農機具の燃料を補給するなど地域住民の生活にとって大事な拠点となっていました。
しかし施設の老朽化に加えて人口や利用客数の減少、さらにはエコカーの普及によりガソリン需要が低下したことで経営を続けることが厳しくなり、6月をもって店を畳むこととなりました。
営業最終日となった30日も多くの人々が給油のためにやってきました。
▽学校給食センターのトラックを運転する女性
「寂しいですね。遠くなりますね。高江からなので」
▽農機具のために買い置きしに来た男性
「農機具用。無くなるのは寂しいですね。あったほうがいい」
▽女性
「もう大宜味に行くしかない」
有銘SSが閉店となれば東村から最も近いガソリンスタンドは山を越えた先の大宜味村津波になります。
有銘SSからは10キロ離れていて車で20分ほどかかります。
さらに本島北部東海岸のガソリンスタンドは名護市二見から最北端の辺戸岬にかけて名護市瀬嵩、有銘SS、国頭村安波、とおよそ80キロの間に3ヵ所のみ。
有銘SSは地域の住民だけでなく山原を旅する人々も利用してきました。
▽ツーリング中に給油しに来た男性
「ほぼここで給油しています。10年くらい利用していた。今後は街のほうで満タン入れて行くしかない」
有銘SSはツーリング客の集合場所でもありました。
▽比嘉章人所長
「37年目ですね。北は高江のほうから、南は名護の天仁屋から、朝から地域の方が最後だからということで燃料を入れに来たり感謝の言葉を掛けに来てくれたりした」
▽最後の女性客
「唯一ここが東村にとっての給油所だった。本当に助かりました」
▽女性従業員の最後の接客
「700円のお釣りです。ありがとうございました。大変お世話になりました」
▽比嘉章人所長
「ホッとしたところもありますね。(明日以降は)開けはしないんですが、後片付けとかをやっていこうかなと」
▽30年あまり有銘SSで勤め閉店とともに退職する稲福清美さん
「きょうは長いような短いような一日でした。あっという間でした。とっても楽しい期間でした」
37年にわたり村民の生活を支えてきた有銘SS。東村のガソリンスタンドの今後は・・・
路線バスやタクシーなどといった公共交通機関が乏しい”やんばる”地域で暮らすには自家用車が必需品で、ガソリンスタンドは生活に欠かせない重要なインフラです。
有銘SSが閉店することを受け、東村は役場に近い東村平良の村有地に新たなガソリンスタンドを誘致することを決めました。
住民の足を支えてきた生活基盤を確保するため東村はできるだけ早く新たなガソリンスタンドを設置したいとしています。
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