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受け入れたくても受け入れられない 沖縄の救急医療の今

新型コロナが5類に移行してから再び感染が拡大していることに加え、熱中症や事故などによる急患搬送が増え今、医療体制がひっ迫しています。
連日患者が運び込まれ対応に追われる救急医療の現場を取材しました。

▽友愛医療センター・山内素直医師
「先ほど84歳の高齢女性が来まして抗原検査で陽性。ちょっとご自宅に帰る前提で取ったんですけど来てみたら酸素が悪いので、もしかしたら入院が必要になるか」

豊見城市の友愛医療センターで救急医を務める山内素直医師です。

新型コロナの感染症法上の位置付けが今年5月、季節性インフルエンザと同じ5類に位置付けられました。

県内では感染者が急増し友愛医療センターでも15床あるコロナ専用病床は常に満床の状態です。

また救急にも発熱して新型コロナへの感染に不安を抱えた人が訪れたり、抗原検査などで陽性と診断された人が運び込まれることが増えています。

▽山内素直医師
「5月後半6月になってきてからどんどんコロナの患者さんが発生してくるにしたがって、5類になった点で救急医療のひっ迫の理由になっているところが見えてきて、それに現場で対応している所です」

心筋梗塞などいった一般の救急患者に加え、行動制限がなくなったことで熱中症や事故による搬送が増えHCU・高度治療室も満床が続いています。

▽山内素直医師
「コロナ以外にもそういう怪我とか急な病気の患者さんが増えてきて、ますます救急医療がひっ迫していくんじゃないかなというのがすごく不安に思っています」

取材を始めておよそ50分が経過した午前8時48分。

▽山内医師(入電対応)
「コロナ患者さん、40代の患者さんで胸と背中が痛くて息も苦しい近くの病院があったが受け入れを断られてこっちに来ます」

取材を始めて最初の救急の受け入れ要請は、他の病院で受け入れを断られた新型コロナ患者の受け入れでした。

そのおよそ10分後…

新型コロナと診断された人や疑いがある人が立て続けに運ばれてきました。

▽山内医師(入電対応)
「熱があるからクリニックに来て抗原で陽性になって。全部ことごとく断られ救急隊も電話したけどこれでウチで6件目か7件目。20分かけて来ます」

取材を始めておよそ1時間半の間で3人を受け入れました。

このうち2人は他の病院での受け入れを断られた人でした。

その後、午前9時40分には小さなこどもの受け入れ要請が入りました。

「小児担当の先生に問い合わせます受け入れ大丈夫ですかって」
「小児科に受け入れが可能かを確認する」

▽山内医師
「小児科が対応できないと言って(受け入れは)断りました。受け入れたくても受け入れることが出来ない」

今、沖縄の救急医療の現場で起きている実態です。

県によりますと今年4月から今月2日までの救急の出動件数は2万5030件で、このうち1472件はコロナ関連の出動です。

昨年度の同じ時期の救急出動件数2万1328件を上回っています。

さらに、救急患者の受け入れに要請が20回を超えるケースが確認されたり、中部地区の患者が南部地区の病院に運ばれたり、その逆のケースもあるなど県全体で医療体制がひっ迫しています。

▽山内素直医師
「南部医療圏、あと沖縄県全体で救急患者さんコロナの患者さんもそうですしコロナではない患者の受け入れもかなり厳しくなっていて、第7波の時にあったような本当に医療が今すぐ必要な方に提供できないような状況になっていると思います」

山内医師は必要な医療を必要としている人に提供するため県民に感染対策の意識を持ってほしいと呼び掛けます。

▽山内素直医師
「実際医療現場はひっ迫していて、本当に医療が必要な人に医療が行き届かない状態がまた起こっているんです。なので今一度自分の身の回りで起こっている現実というのを知ってもらってい、一度意識危機感を持ってほしいと思います」

綱渡りのような状況がいつ収束するか見通せず、医療現場は瀬戸際まで追いつめられようとしています。

私たち自身や大切な人の命と直結する問題だと今こそ一人一人が認識しなければいけません。

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