きっかけは娘の同級生の死 水の怖さと対処法を教える「命を守る授業」

夏休みに入り海や川で遊ぶ機会が多くなるこの時期、子どもたちによる水難事故を1件でも減らしたいと命を守る泳ぎ方を教える特別授業が開かれています。
▽宜野湾市消防職員・仲本翔さん
「先にやる前に一つだけみんなに確認したいことがあります。泳ぐことが苦手な人、顔を水につけることができない人は大丈夫?ちょっと苦手ですっていうことは、周りのコーチ先生たちに必ず伝えてください」
宜野湾市消防の職員仲村翔さん。休日を利用してボランティアとして県内各地の小学校で服を着た状態で泳ぐ「着衣水泳」の方法を教えています。
海や川に転落したり遊泳中に沖に流された場合衣服を着たまま泳ごうとすると水の抵抗や服の重さですぐに体力を消耗するため、無理に泳がず服の浮力を使って浮いて待つことが大切です。
仲村さんがこの活動を始めたきっかけは娘の同級生が川に落ちて意識不明になりその後亡くなった事故がきっかけです。
▽仲村翔さん
「浦添の牧港川で小学校1年生の男の子が学校帰りに川に誤って落ちてしまった。その子が私の友人の子どもでもあって、長女の幼馴染でもあるんですね。引き上げられたとき私は心肺停止状態と心臓マッサージされてる状態を目の当たりにしてしまったので、同じ事故を一つでも減らしていきたいという思いからのスタートです」
夏休み初日の今月21日、福岡県で川遊びをしていた小学6年生の女子児童3人が溺れ亡くなりました。
当時周りに大人はおらず、3人は水深およそ3メートルの川底で見つかりました。
▽仲村翔さん
「水着を付けていなかった普段着だったという一文をみてもしかしたらこの子たちも泳ぐつもりで行ったんじゃなくて、水遊びで行ってたまたま深みにはまってしまったのかなと。私たちも講習会で伝えているのがやはり水難事故の多くが子どもの場合、水に入る予定が無かった時に起きているというのがすごく多い」
沖縄県警によりますと、今年1月から今月24日までに県内で発生した海や川などでの水の事故は54件。
中学生以下が巻き込まれたのは6件で、このうち1人が死亡しています。
第11管区海上保安本部によりますと、学校が夏休みとなる7月から8月にかけて18歳以下のマリンレジャー中の事故が急増する傾向にあり、過去5年の統計ではこの期間に事故にあった人の数が全体の4割を占めています。
▽仲村翔さん
「本来は起こさないことが一番。そのためには予防すること、私たち講習会の中では3つの約束というふうに伝えています。1つ目はこどもだけでは絶対海や川に遊びに行かないこと。2つ目は遊泳禁止では泳がない、必ず管理人がいる場所、大人の目がある場所で泳ぐ。3つ目が海や川、釣り水遊びに行くときはライフジャケットをつけることを教えています」
「ただどうしても起きてしまいます。私たちが伝えているのはそういった時にも浮いて待つ方法を伝えていて、それは助けが来るまでに体力を温存したまま浮いて待ち続けることを伝えています」
楽しい夏休みに悲劇を起こさないために、水の怖さと正しい対処方法を子どもたちに伝えていくことが大切です。
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