公開日

「放心状態・・・」クルマエビ養殖場が高潮で壊滅的被害 海ブドウも出荷できず

県は台風6号による農林水産物への被害額が10億円を上回る見通しを示しました。

海ブドウやクルマエビなど水産物の養殖施設にも大きな被害が出ていますが、全容を把握するには至っていません。

壊滅的な被害を受けた施設では再開の見通しが立たず生産者は苦境に立たされています。

▽松本早織記者
「海ブドウの養殖施設です、台風の影響で屋根の一部が壊れ、雨水が入った影響などにより水槽内の海ブドウは出荷できない状態になっています」

恩納村漁業協同組合は養殖施設で海ブドウを生育し、1日あたりおよそ120キロから150キロを出荷していましたが、停電により海水をくみ上げて循環させるモーターが停止し品質が落ちたため、出荷できない状態となりました。

8日に視察に訪れた玉城知事に対し、新たに育成して出荷するまでに2カ月かかり、およそ2,200万円の損失が見込まれていることを説明しました。

恩納村漁業協同組合の担当者は水産物が悪天候の被害を受けたときの補助の対象に、海ブドウも加えることを国に要請してほしいと求めました。

▽恩納村漁業協同組合・仲村英樹参事
「国に海ぶどうも対象とした保険とか。もずくとかはあるんですけど、生産者が安定して安心して作れる環境をとお願いしました」

視察を終えて玉城知事は国と連携して支援する考えを示しました。


南城市にあるクルマエビの養殖場は壊滅的な打撃を受けました。

▽山内駿記者
「台風の高潮により、こちらの養殖池の全てが海水に飲み込まれました」

板馬養殖センターでは台風による高波と高潮で海水が防波堤を越え、敷地内に流れ込みました。

板馬養殖センターでは7万3000平米の敷地に6面の養殖池を構えていて、生まれたばかりのクルマエビを池に入れ、養殖を始めた時期だったそうです。

台風が最初に通過した今月3日に撮影された映像です。

敷地内が水没し、資材などが海水に流されている状況が確認できます。

沖縄気象台によりますと、南城市の潮位観測地点では台風の接近と大潮が重なり、過去最も高い2.26mの潮位を記録(今月1日)しました。

▽板馬養殖センター・新垣奈菜さん
「もう言葉が出ないというか、頭を抱えるというか、放心状態でしたね。どうしようもないので」

養殖を始めたばかりのクルマエビが池の外に流されたり、防波堤を越えて入ってきた魚に捕食されたりして130万匹、仕入れ値に換算しておよそ6000万円の被害が出ているといいます。

被害はクルマエビ以外にも…

▽新垣奈菜さん
「保存する冷凍庫だったんですけど、浸水してしまって、腰辺りまで水が入ってたんですけど、それで浮いてしまって倒れてしまっている状況。もともとあった在庫がちょっと腐ってかなり臭いが出てきているので、かなり今きついと思いますけど」

海水はクルマエビの保管・出荷を行う施設にも流れ込み、長時間に渡る停電で冷凍庫のクルマエビが腐敗し、およそ1000万円分の商品を廃棄せざるを得ない状況です。

▽板馬養殖センター・照喜名朗社長
「今僕らがやっているのは片づけなんですけど、僕ら自体がどこを片づけていいかわからない。一夜にして無くなったものですから、かなり厳しいですね。大きな被害だからめげるんですけど、それはあとにして、ひとつひとつ出来る事からやっていきます。負けたらダメです。頑張ります」

台風による被害の全容を把握し、苦境に立たさされる事業者への支援が求められます。

あわせて読みたい記事 ヤンバルクイナ

あなたへおすすめ! クマノミ 小 クマノミ 大きい