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安全運行20年 ゆいレール裏方の技術者たち

ゆいレールが10日で開業20周年を迎えます。

今まで大きな事故もなく先月末時点で延べ2億9000万人の乗客を安全に運んできました。

20年間の安全運行の裏側には昼夜、整備・点検に携わる技術者たちの姿がありました。

多くの県民や沖縄を訪れる観光客にとって欠かせない移動手段となった沖縄都市モノレール・ゆいレール。

8月10日、開業20周年を迎えます。

2003年の開業以来、軌道法に定められている脱線事故や人身事故などの「運転事故」は一度もなく、7302日、安全運行を積み重ねてきました。

その裏には安心安全、そして定時定則を支える技術者たちがいます。

終電の運行を終えた午前1時前。そこに現れたのはゆいレール・・・ではなく黄色い点検車両です。

▽山城志穂記者
「深夜のゆいレール石嶺駅に来ています。作業員の方々がこちらの黄色い点検車両に乗り、ゆいレールが走る軌道桁の整備や点検を行います」

この日は車両が走る軌道桁いわゆる「レール」やそれを支える部品などに異常がないか、年に一度の点検・整備が行われていました。

那覇空港駅からてだこ浦西駅までの全てのレールの点検を終えるには半年以上かかるといいます。

▽作業員「こういう内側の(部品)が入っているんですけど、これのサビ具合だったり、これのサビ具合を見たり、ボルトが切れていないかとか、板が外れていないかとか。という点検ですね」

細かい作業を一つ一つ地道にこなします。

ゆいレールの開業当初から20年にわたりこの仕事に携わってきたのが現場を取り仕切る新垣定信さんです。

▽新垣定信さん
「最初の頃は、特にやりがいとかを考えずに現場に入っていた。携わっている間に、モノレールは沖縄唯一の軌道の公共交通機関。そういうことを考えているうちに、なかなかこういう仕事に携わることはないと思いがどんどん出てきた」

乗客の安全を守るため点検に携わる一人一人が使命感を持っています。

▽照喜名悟さん
「20年を迎えられてお客様に感謝したいのと、今後30年、40年大きな事故もなく維持できるように励んでいきたい」

日中の工場棟ではおよそ40人の作業員が車両の検査にあたっています。

車両本体はもちろんのこと、ゆいレールを構成する部品一つ一つのメンテナンスも行っています。

20年にわたり現場を見つめてきた一人が仲村喜代志さんです。

▽沖縄都市モノレール車両課・仲村喜代志課長
「(20年)長いようでもありますし、あっという間でもある」

開業当初、仲村さんたちが直面したのは想像を遥かに超えるサビの問題でした。

▽仲村喜代志課長
「沖縄はサビとの闘い。最初は大変でした本当に」

高温多湿の気候に加え、頻繁にやって来る台風に伴う塩害などにより鉄が錆びやすいという、沖縄ならではの難しさがありました。

▽仲村喜代志課長
「開業前から、先輩の事業者である東京モノレールから指導者が来て検査のやり方や考え方を指導いただいた。しばらくしたら帰られるのでそこからが本当の戦いだった。教わる人がいないということで、自分たちでいろいろ考えながら他の事業者に相談しながら何とかやってこられた」

先輩方の背中を見て若き技術者も日々奮闘しています。

▽大城恭輔さん「モノレール自体専門的な知識が多くて・・・」

普段、乗客と顔を合わせることの少ないこの仕事ですが・・・

▽大城恭輔さん
「普段、お客さんがいない空っぽの車両に乗っているので。お客さんが通勤や帰りで寝てしまっているようなところを見ると、ちゃんと快適な環境を作れているんだなとやりがいに感じる。普段はあまり(お客さんに)会わないけど、これからも”縁の下の力持ち”というのを頭に入れながら頑張っていきたい」

県民の足を支え続け20年。その裏には県民や観光客の安全と快適な移動のために汗を流す技術者たちの姿がありました。

そして、長年にわたる準備を終え出番を待ち構えている3両編成の新しい車両。

混雑の緩和、増加する観光客への対応など利便性・快適性のさらなる向上に応えます。

多くの県民の期待を乗せいよいよあす、出発します。

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