首里劇場 最後に華やいだ日が映画に
沖縄に現存する最も古い映画館・首里劇場。
「戦後の大衆文化を体感出来る貴重な建物だ」と有志の会が保存を模索していましたが、老朽化が激しく解体されることになりました。
こうした中、客席が多くの人で埋め尽くされた最後の日を記録した映画が那覇市で上映されています。
首里劇場が多くの人で華やいだ日を切り取った映画。
舞台挨拶で発表されたのは…
當間早志監督
「首里劇場の今後はどうするかということで首里劇場調査団とかが色々声掛けして頑張っていたんですが、どうなんですかね」
平良竜次さん
「僕の口からは言いにくいんですけれども、解体の話が出ています」
1950年に開館した首里劇場。この場所で70年以上に渡って営業を続けて来ましたが去年4月に館長が急逝。
後を継ぐ人もおらず、来月から解体されることが決まりました。
首里劇場調査団・真喜屋力さん
「いつ解体するか分からないので全部外して、博物館の方に引き渡す」
歴史的に価値のあるものを保存するため取り外しているのは首里劇場調査団のメンバーです。
これまでなんとか建物を残そうと模索してきました。
首里劇場調査団・平良竜次さん
「いよいよ取り壊すんだなと寂しかったんですけど、始めると発見がすごすぎてわくわくしているんですよ」
館内に残る広告看板は劇場が開館した当時のものばかり。
平良竜次さん
「武村松月堂首里市鳥堀。首里市の時代ですね」「70年前のベニヤ板ですよ」
さらに…舞台裏に埋もれていた引幕には松竹梅が描かれ中心には首里劇場の文字が。
歴史を語るさまざまな”もの”が首里劇場には残されています。
その首里劇場が多くの人で客席が埋め尽くされた日の記録が映画化されました。
當間早志監督
「貴重な記録映像になっちゃったというか、もう二度とああいうイベントができないんだなと思ってちょっと悲しくなってくるというか、やっぱり記録って大事だなとつくづく思いましたこの映画を作っていて」
映画は玄人受けはしてもいまいち売れないバンド、「やちむん刺激茄子」のリーダー・奈須重樹を追ったドキュメンタリー。
2016年に首里劇場で開いたライブシーンがふんだんに盛り込まれています。
奈須重樹さん
「あのとき歌っていてよかったなと思いました。沖縄の芸人、芸能人、演劇人が踏んだ舞台に立たせてもらって、混ぜてもらってよかったよかったと」
映画を見た客は
「首里高校なんですけど、あっちまで行ったことなくて。あることを初めて知りました」
「なくなる前にやっぱり行きたい。沢山の人の想いが詰まっていると思うから」
「首里劇場も見たかったし、こうやって(映像に)残してくれているんだから、見たかったらまたこの映画を見ればいいんだなと思ってちょっと安心しました」
最後は首里劇場へのはなむけに歌が贈られました。
奈須重樹さん
「首里劇場、晩年は名画座だったんですが、”まるで名画座のように”という歌を作りました」
戦後間もない頃に建てられ、芝居や映画という娯楽で人々の心を癒し楽しませてきた首里劇場。
まもなく、その歴史に幕を下ろそうとしています。
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