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辺野古の埋め立てめぐる 国と沖縄県の対立に行政法の専門家は

玉城知事が「期限までに承認を行うのは困難」と回答した事について、行政法の専門家はどのように観ているのでしょうか。

玉城知事(4日)
「知事としては承服できなようないくつかの様々な事柄あります。他方で行政の長としては先般の最高裁の判決を受け止めるという必要もあります。現段階では承認とも不承認とも確定できないということで「判断できませんでした」という事での回答をさせて頂いています」

判断を保留した理由をこのように説明した玉城知事。承認しなかったことで事実上、不承認が維持されることになりました。

行政法を専門とする龍谷大学の本多滝夫教授です。

龍谷大学・本多滝夫教授
「政治家としての苦悩、行政の長としての苦悩という形で両者で引き裂かれているということはよく指摘されているところですけど、(行政の)長としてとるべきことはやはり住民の意思を代表すること。それを守ることが行政の長といいましょうか、自治体の長として当たり前の話であると考えています」

国は司法の判断を盾に県に承認を迫っていますが、最高裁の判決では設計変更の合理性や県が不承認としたことの妥当性まで踏み込むものではありませんでした。

龍谷大学・本多滝夫教授
「不承認処分の適法性が最終的に最高裁に判断されていない状態のもとで『最高裁判決があるから是正の指示に従って玉城知事が承認しなければならない』といったことはおかしいのではないか。直ちに従わないことが違法とは考えにくいと思っている」

国は県の代わりに設計変更を承認する代執行に向けた訴訟を提起。

地方自治法では代執行の手続きの要件として「放置することにより著しく公益を害する事が明らかである場合」などを定めていて、裁判では玉城知事が不承認としたことがどのように公益を害するかが大きな争点となります。

龍谷大学・本多滝夫教授
「一刻も早く危険除去をする為には辺野古に固執するんじゃなくて、普天間基地周辺の生命・安全が侵される状態が継続しているといったこと、この方が公益侵害になるし、その点で県が今承認しないことについては県民の意志を反映した公益性があるんだといったことを主張して頂きたい」

国が地方公共団体の業務を強制的に行う代執行は、地方への国の関与としてはもっとも厳しいものです。

国は2015年にも辺野古の埋め立て承認を取り消した県の判断は違法だと代執行の訴えを起こしました。

本多教授は国の施策に対して抵抗した地方公共団体の権限を国が強権的に奪うやり方は民主主義を蔑ろにしていると指摘します。

龍谷大学・本多滝夫教授
「法的にも有無を言わせないようなやり口をとって対話を拒否していくというやり方はよろしくないし、全国の地方自治の担い手である地方公共団体の首長や住民の方々は、この問題を注視していかなければと思っています」

本多教授は法廷闘争に明け暮れるだけでなく、国と地方は対等だとする地方自治法の本旨に立ち返り、対話による解決を図ることが重要だと強調します。

龍谷大学・本多滝夫教授
「もう一度政治の世界や行政の世界において国と沖縄県は真摯に話し合うべきだと思っています」

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