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火の粉舞い散る伝統行事 金武町金武のテービー

金武町の金武区で、かつて大綱引きの前に行われていた伝統儀式「テービー」が22年ぶりに披露されました。

たいまつをぶつけ合い士気を高める勇壮な儀式に地域の人々は心を一つにしました。

旧暦の十五夜にあたる先月29日、金武町の金武区で4年ぶりに開かれた観月祭。

コロナ禍を経て開催を待ちわびていた区民が金武公会堂に集まりました。

地域の拝所では五穀豊穣や無病息災を御願し、迫力ある獅子舞の演舞が奉納されました。

今年の観月祭では2001年以降途絶えていた地域の伝統儀式が特別余興として披露されることになりました。

金武区文化振興推進委員会・儀武剛委員長
「コロナ禍になって文化推進委員会というのも立ち上がったり成人会が発足したり金武区の中で色々な組織体制ができた。みんなでやってみようという機運が高まったということですね」

金武区と隣の並里区には戦前から続く「金武・並里大綱引き」があります。

今回はその復活とまでは至りませんでしたが、綱引きの前座として士気を高めるための儀式、トゥール、ガーエー、テービーが22年ぶりに再現されることになりました。

金武区文化振興推進委員会・儀武剛委員長
「各個人の意気込みも感じます、若者たちも教えてほしいという雰囲気がある、教えがいがあるというか、世代間の交流ができてとても良い体験になるんじゃないかなと思っています」

地域の年長者らは22年前の綱引きの映像を見ながらこの日を迎えた喜びを語ってくれました。

地域の人
「あのときはもう大変でしたよ。2カ月も3カ月ずっとこれにつきっきりでね。作るところからですから当日だけのお祭りじゃないですよ。先週リハーサルをしたんですけどおじいちゃんたち泣いていましたからね」

「今日は素晴らしい観月祭になりますよ。また盛り上げて本当の綱引きまで2~3年後にできたらいいですね」

伝統行事の復活に向けて今年4月には成人会が発足しました。

金武区成人会・奥間和広会長
「生まれ育った金武区で何か一つ、恩返しできたらいいなということで立ち上げて色々な活動や区の行事などに全面的に協力したいです」

金武区成人会・松田健人さん
「やる前から興奮しています。22年前も先頭で、みんな目がギラギラしてバチバチなんで怪我しないように頑張りたいと思います。倒さないためにこの伝統を引き継ぐためにみんなで心を一つにして頑張ろう」

永田裕介記者
「たいまつを持った区民が集まってきました。祭りの熱気は最高潮に達しています」

テービーでは東西に分かれた地域の男たちがたいまつを激しくたたき合います。

興奮冷めやらぬ中、祭りの最後を締めくくったのは会場にいる全員で踊るカチャーシーです。

地域の人は
「最高、高校時代から長年(参加している)最高でした」
「久しぶりにみんなで地域で協力しながらの祭り、本当に素晴らしかったと思います」

区の伝統は新たな世代の心にも響いています。

子ども
「楽しかった、とても」
Q.大きくなったらやってみたい?「参加したいです」「ちょっとだけ参加したい」「やってみたいです」

高校生
「伝統というのは一人ひとりが受け継いでいく、それが大事だと思います」

テービーに参加した若者
「若い人たちの力で受け継いでいけたら良いと思います」

金武区成人会・奥間和広会長
「もうやり切りました。金武区の皆さん若い世代から年配の先輩方までワンチームになるとすごいなと実感しています」

金武区文化振興推進委員会・儀武剛委員長
「子どもたちの返しの声が大きくて良かったですね。もうそれだけで大成功だなと思い、次の世代に伝わったと思っています。綱引きというのは地域を団結する行事なんです。これを作ってみんなで汗をかいてそれで喜びを分かち合う、終わったら勝ち負け関係なしにみんなで労をねぎらう。素晴らしい文化だと思っています」

22年ぶりに再現された火の粉舞い散る伝統行事で地域の絆を深めた区民たち。

その先には大綱引きの復活が待っています。

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