辺野古埋め立て代執行訴訟の争点を読み解く 公有水面埋立法に違反?
普天間基地の移設に伴う名護市辺野古の埋め立てをめぐる代執行訴訟の争点について、シリーズでお伝えしています。
今回は辺野古を埋め立てる根拠となっている法律、公有水面埋立法をめぐる争点をみていきます。
今月30日に第1回口頭弁論が開かれる代執行訴訟では、沖縄防衛局の設計変更申請を承認しない知事の正当性が争われます。
玉城知事(9月4日の最高裁判決を受けて)
「裁判所の判断は公水法(公有水面埋立法)によって認められた地域住民の利益を守るための知事の裁量を否定したもので、地方自治の観点からも許されるものではありません」
公有水面埋立法とは「公の水面を埋め立てて土地を造成する」際に適用される法律です。
埋め立てをしようとする者は知事や市町村長などから免許を受ける必要があり、その際には環境保全や災害対策に十分に配慮されているかなどが審査されることがこの法令には定められています。
おととし11月、沖縄防衛局の設計変更申請を不承認とすることを決めた玉城知事。
玉城知事
「本来、沖縄防衛局において事業開始前に必要最低限の地盤調査を実施すべきであったにもかかわらず、これを実施せず不確実な要素を抱えたまま見切り発車したことに全て起因するものと考えています」
軟弱地盤の安定性について「調査が不十分で災害を防止する上で十分な検討がなされていない」と指摘しました。
この対抗措置として、公有水面埋立法を所管する国土交通大臣は玉城知事の不承認を取り消した上で承認を迫る是正の指示を出し、県は「国の違法な関与に当たる」として裁判を起こしました。
一審の福岡高裁は判決で調査不足などを理由に、県が不承認とした事は「裁量権の逸脱・濫用」に当たると指摘。
一方、先月の最高裁の判決では「国の是正の指示は適法」としたものの県の不承認が妥当だったかどうか判断を示しませんでした。
この判決を踏まえ県は「設計変更を不承認としたことが公有水面埋立法に反しているとは言えない」と主張しています。
玉城知事会見
「公有水面埋立法に違反することについて、国は具体的な立証をしていないということから考えると、これは代執行の要件を満たさないと」
一方の国は国土交通大臣の指示が適法であることは一連の裁判の判決で明らかだと主張。
斉藤鉄夫国土交通相
「(最高裁判決受けて)変更を承認するよう指示した国土交通大臣の是正の指示が適法であることが確定したものと考えております。今般の最高裁判決に沿って速やかに変更承認がされるものと、このように考えております」
行政法の専門家はどのように見ているのでしょうか
龍谷大学・本多滝夫教授
「(最高裁判所は)是正の指示が適法であるという判決を出した。不承認処分が違法だから国土交通大臣の是正の指示が正しいというふうに判断したわけではない。そうすると不承認処分が本当に公有水面埋立法に違反しているかどうかについては尚もオープンな状態にあるというふうに私たちは思いました」
代執行訴訟では設計変更の合理性や玉城知事が不承認としたことの妥当性に踏み込んで審理するか注目されます。
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