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辺野古完成は2037年 軍事的には普天間が優位 在沖米軍の幹部発言に垣間見える本音

普天間基地の移設計画を巡りアメリカ軍の幹部は辺野古の代替施設が完成するのは2037年になると述べました。

また、代替施設よりも普天間基地の方が軍事的に優位性が高いとする見解を示しました。

沖縄に駐留するアメリカ軍は7日から報道機関を対象に訓練の様子などを公開しています。

この一環で開かれたワークショップの中で、アメリカ軍の幹部は普天間基地の移設に伴う辺野古の代替施設が完成するのは「2037年の予定」という見通しを示しました。

台風など自然災害の影響は考慮されておらず、少なくともあと14年間は普天間基地が使用されることを示唆しています。

辺野古沿岸部の北側、大浦湾で見つかった軟弱地盤が最も深い所で90Mに達するとみられることについて「軟弱地盤が修正できなければ軍事的な影響を与える恐れもある」と述べました。

一連の発言を受けて政府は火消しに追われました。

松野官房長官
「地盤改良については沖縄防衛局において有識者の助言を得つつ十分な検討が行われていて、飛行場として問題なく建設は可能。こうした内容については米側にも説明を行い確認してきていて、日米間に見解の相違は無い」

住宅地に囲まれた普天間基地は滑走路が約2800メートルで大型の輸送機や戦闘機も度々飛来しています。

これに対し辺野古の代替施設の滑走路は1800メートルで、アメリカ軍の幹部は航空機の運用に懸念を示し、「辺野古はすぐ隣に山があることでレーダーの捕捉が悪い」などと指摘しました。

また、辺野古の代替施設が完成した後も普天間基地が残せるのであれば「その方が良い」という見解も示しました。

アメリカ軍は沖縄に駐留する海兵隊の一部を改編し離島の防衛に特化した小規模の部隊で展開する海兵沿岸連隊・MLRを今月発足させます。

アメリカ軍が公開したのもこうした作戦を遂行するための訓練でした。

17年前に合意された辺野古への移設計画は今のアメリカ軍の戦略にかなったものなのでしょうか。

安全保障が専門の沖縄国際大学の野添文彬准教授は次のように指摘します。

沖縄国際大学・野添文彬准教授
「近年のEABO(機動展開前進基地作戦)の下では、(米軍の)部隊を少人数で分散させて固定的な基地に依存しないで活動する。新しい戦略と言うのをアメリカ政府が練っている中で見直す機会があるのではないかと思います」

政府は「辺野古が唯一の解決策」と繰り返していますが野添准教授はアメリカ軍の戦略に沿って基地負担の軽減を図る方法は別にあると指摘します。

沖縄国際大学・野添文彬准教授
「中国のミサイル能力の増強によって固定的で大規模な基地は軍事的に脆弱になってる。沖縄県外に兵力を分散させることが実は沖縄県民の基地負担の軽減にもなり、あるいは安全保障上のメリットもあるかもしれない」

アメリカ軍の幹部は発言に際し「政治的なしがらみがなく、あくまで軍事的な意味合い」と前置きしていますが、アメリカ軍の本音が垣間見えるような発言は今後も波紋を広げそうです。

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