周知不足も浮き彫りに UDタクシーの現状と課題
電動車いすで乗り降りできるユニバーサルデザインタクシー、UDタクシーは障害がある人の重要な交通手段として県内でも普及が進んでいますが、当事者がスムーズに利用できない実態が明らかになりました。
障害者でつくる団体が県ハイヤー・タクシー協会に現状を報告し、改善を求めました。
車内が広く、車いすのままで乗り降りが可能なUDタクシー。
乗務員が1人で介助することで障害がある人でも利用でき、県内では現在およそ440台が導入されています。
8日、県ハイヤー・タクシー協会を訪ねたのは自立生活センター・イルカのメンバー。
先月、全国一斉に行われた運動の一環でUDタクシーが利用できるか試すため、県内で導入している12の会社の配車センターに電話をしました。すると・・・
「UDタクシーって何ですか?」
「乗務員の研修をしていないので対応できない」
「一か月前の予約が必要」
「付添人がいないと乗車できません」
などと対応され、1台も配車は叶わなかったといいます。
協会では8年前ほど前から乗務員を対象に「ユニバーサルドライバー研修」を実施し、UDタクシーの操作方法を周知してきました。
しかし協会の乗務員5600人のうち研修を受けたのは400人程と1割にも達していません。
また、配車を担当するオペレーターなどへの周知は各事業所で行っているのが現状で、誤った認識を持っている従業員がいることも浮き彫りとなりました。
イルカのメンバーは当事者の声を反映し改善に努めるよう求めています。
県自立生活センター・イルカ・平良和希さん
「タクシー会社も意見交換して、仲良くなって、誰もが乗りやすいタクシーにしていきたいと思っています」
県ハイヤー・タクシー協会・大城直人専務理事
「(電話した)12社だけではなく他のところも教育ができていないと痛感しました。徹底したサービスができるようにスパイラルアップ(改善)して指導を徹底していきます」
協会は乗務員の研修を重ねるとともに業界を挙げて改善に取り組みたいと応じました。
タクシー業界は人手不足が深刻で、車両稼働率が5割から6割に留まり配車センターも対応に手一杯であることも背景にあります。
しかし協会は「それは言い訳にならない」とし「すべての事業所に指導を徹底しタクシーに求められる社会的な責任を果たしたい」としています。
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