延べ1万人を案内 首里城ガイド中高生の思い
県外からの修学旅行生を受け入れ首里城をガイドする活動を行っている興南高校・中学校の「興南アクト部」。ガイドの取り組みは12年目となり、これまでに同世代の延べ1万人に首里城や沖縄の魅力を伝えてきました。
火災を経て、よみがえろうとしている首里城の姿を見つめる生徒たちに再建への思いを聞きました。
日曜日の朝。千葉県から修学旅行で沖縄を訪れている中学生たちを迎え入れたのは興南高校・中学校の「興南アクト部」のメンバーです。
興南アクト部・東内原輝空さん(高2)
「地域交流そして首里城ガイド、きょうの午前中を目一杯使ってみなさんと交流できるので、きょうは宜しくお願いします!」
この日は学校で互いの地域を紹介しあって親睦を深めたあと首里城公園に向かいました。
首里城ガイドはアクト部が長年続けている修学旅行生向けの目玉企画です。
同じ世代同士だからこそ興味・関心を惹くようなガイドをつくりあげることができます。
興南アクト部・室谷依和さん(高2)
「コミュニケーションが大好きなのでいろんな県・国の人と関わることができて」
興南アクト部・仲座心晴さん(高2)
「沖縄は他の県と物理的に距離がある中で、同年代の子や近い世代の子たちと交流できるところに魅力を感じています」
興南アクト部室谷・依和さん(高2)のガイド
「守礼門ですね、こちら守礼門といいます。皆さん分かりますよね。右から何て読むか分かりますか?『守禮之邦』って書かれていて、守禮には礼節を重んじるという意味が込められています」
興南高校・中学校の門林良和教諭が、生徒たちに地元の歴史や文化に触れその魅力を広く伝えてほしいと活動を立ち上げました。
12年間続くガイドで、これまでに受け入れた数は延べ100校、1万人を達成しました。
興南アクト部・顧問門林良和先生
「1万人というのを一つ大きな目標にしていて、100回目の交流会で受け入れ人数が10000人を超えたということで、卒業生たちみんなに連絡を入れました。長くやってきたことで、先輩から後輩へ繋がれてきた繋がりはすごく大きい」
「12年間続けてきて、1番大きかったのは首里城の火災とコロナで」
今のアクト部を引っ張る高校2年の室谷依和さんと仲座心晴さん。首里城が焼失したのは、中学1年、入部して間もない頃でした。
興南アクト部・室谷依和さん(高2)
「自分たちが中1のときに燃えてしまって。本当に一瞬でなくなっちゃうんだと思いました」
興南アクト部・仲座心晴さん(高2)
「信じられなかった」
首里城火災、そして新型コロナウイルスの流行。思うように活動できない日々が続きましたが歩みを止めることはありませんでした。
在りし日の首里城を映し出すVR・仮想現実を用いたり、コロナ禍でオンラインでの交流を図ったりと、メンバーでアイデアを出し合い工夫を凝らしながら取り組みを続けました。
興南アクト部・室谷依和さん(高2)
「当時燃えたときは、(首里城が)なくなっちゃって、ガイドどうなるんだろう、アクト部どうなるんだろうと思ったんですけど、いろんな方法をやれば続けることができるんだと思って」
去年11月、起工式を経て本格的に始まった首里城正殿の再建工事。
あの深紅の宮殿を3年後に再びを目にできることに期待を膨らませながら工事の様子を案内しました。
その思いは修学旅行生にも伝わったようです。
女子生徒
「すごく分かりやすくて仲良くなれて楽しかったです」
男子生徒
「とても丁寧なガイドで、すごく濃い内容のものを話してくれてもっと時間があったらなと」
女子生徒
「首里城の本物を見られなかったのは残念なんですけど、再建途中の首里城という貴重な場面を見られて良かったなと良い経験だなと思いました」
二松学舎大学附属柏中学校・向阪望教諭
「どこか学校と交流できないかと探していたところ、興南アクト部が交流会をしていると知って。首里城にも行きたいと思っていたので一緒にガイドのほうもお願いしました。沖縄の思いも伝わってきたので子どもたちにとっても良い勉強になった」
正殿の姿はそこにありませんが、今しかできないガイドにアクト部のメンバーは大きなやりがいを感じています。
興南アクト部・東内原輝空さん(高2)
「なかなかない復元している様子、そういうのは貴重だと思うのでそこをガイドできるのは楽しいしやりがいがあります。今ある貴重な機会を県外の人に伝えていけるように頑張っていきたいです」
興南アクト部・室谷依和さん(高2)
「今再建しているときも、一日一日が同じ光景ではなくて、どんどん復興に向かって行っているので、今しかこの光景は見られないのでポジティブに捉えたらガイドをするところはまだいっぱいある。知れることもたくさんある。後輩たちには過去のことと今のことを両方伝えてほしいと思います」
正殿がよみがえる過程を目に焼き付けて後輩に繋いでいく。生徒たちが青春をかけて注ぐ情熱がそこにあります。
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