自閉スペクトラム症候群の子どもがジャグリングで輝く!
大道芸やサーカスで披露される技の一つ・ジャグリングを、自閉スペクトラム症候群など発達に特性を持つ子どもたちにを教える福祉事業所・Racucuru(ラククル)。子どもたちの力を信じ可能性を引き出す取り組みを取材しました。
先月ショッピングモールで開かれたイベントで見事なジャグリングを披露した子どもたち。
彼らには自閉スペクトラム症候群などの発達の特性があります。
普段は話すことが苦手だったりこだわりが強かったりと、人とのコミュニケーションがうまくとれない悩みを抱えている子達が懸命に技を繰り出しました。
指導するのは多機能型児童福祉サービス事業所「こども支援ハウスRacucuru」の代表を務める本橋健志さん。
実はおよそ30年間、大道芸人として活動するプロのエンターテイナーです。
自分の技術と経験を活かし発達障害がある子どもやその家族の力になりたいと、2年前にこの福祉事業所を立ち上げました。
Racucuru・本橋健志代表
「覚えるのが早い出来る子にそれを聞いたりコミュニケーション苦手な子が、そこからいろんな子と話できるようにしているのを見るとうれしい」
エンターテインメントと福祉をかけあわせた小さな奇跡が次々と生み出されています。
こども支援ハウス・Racucuru。沖縄市内に2か所の施設を運営し、ジャグリングやアートなどの遊びを通して、児童生徒の発達を支援しています。
自閉スペクトラム症候群の人は一般的に手先が不器用で運動も苦手だと言われています。
健志さんがラククルの支援で力を入れているのは「ビジョントレーニング」。
見る力を発達させることで物理的な距離感が掴めるようになり、それがコミュニケーション能力の向上にも繋がると考えています。
Racucuru・本橋健志代表
「この距離でボールが掴める、この力でこの高さが投げられるんだ距離感を掴める、そうすると声の大きさが変わったりとか」
好きなことに熱中しとことん打ち込むことができるのも、この子たちの特性。
Racucuruでジャグリングに出会った民島愛翔くん。
技を一つひとつ増やしながら自信を付けてきました。
母・民島広乃さん
「今までは人とのコミュニケーションが全然取れなかったり、初対面はほとんど喋れない。大道芸を人に見せたい教えたいというので、それを持っていたら人と話ができる」
通うようになって2年、今もジャグリングに夢中な愛翔くん。しかしこの日はどうやら学校で嫌なことがあったようです。
母・広乃さん「学校でお兄ちゃんとすごい兄弟げんかをしたみたい。本人に聞くと人生初めての怒りだったと」
Racucuru・本橋健志代表「もう思いっきり、きょうドームだし思いっきり体を動かして」
母・広乃さん「最近おうちでも癇癪、私のいないところで癇癪が多い、それがちょっとわかんなくて」
Racucuru・本橋健志代表「ほかの職員にも共有してやっていきましょうね」
Racucuru・本橋健志代表
「きょうは(2か所)合同です。あたりクルっとまわってボールキャッチ」
Racucuruでは家庭や学校での様子を保護者から聞き、その子に合わせて活動内容を考えます。
子どもたちに「楽しい気持ち」を感じてほしい。それは長年、けんぢさんが大道芸人としてお客さんに届けてきたものと同じ。
Racucuru・本橋健志代表
学校終わってラククル行きたいな楽しかったな、何やったの?わからん!楽しかった~というぐらいでいいかなと。一番の楽しかったという声をいっぱい聞きたい」
これまでの成果を披露する楽来祭は、買い物客が行き交うショッピングモールの広場で開かれました。
ステージに出る機会が増えたメンバーも本番の緊張の中ではすぐに技が決まらないことも。
Racucuru・本橋健志代表
「落としたことが失敗ではない。その次にできればそれは失敗じゃなくてフリになる。全部が彼にとっての演出」
いよいよ愛翔くんの出番。
Racucuru・本橋健志代表
「毎回同じ技ではなくて新しい技をやろうと、”どきどき度”はあがっているのではないか」
愛翔くんは堂々と技を披露しました。
母・広乃さん
「だいぶ成長したと思う。新しい技はおうちでできるけど外ではやりたくないという子だったが、初めてできた」
人と話すことが苦手だった愛翔くんですが・・
Qうまくできた?
愛翔くん「いつもよりは・・・」
母・広乃さん「いつもよりは上手くできたそうです」
Q100点満点のうち何点?
愛翔くん「82点」
ジャグリングを発達支援に活かしたいと手探りで始めた事業は子どもたちの成長によって手ごたえを感じられるようになりました。
Racucuru・本橋健志代表
「まずは子どもたちが表に出る環境をこれからも作っていく。子どもたちに求められれば自分たちは思いきり全力でやる、それだけかなと思っています」
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