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【代執行訴訟】軟弱地盤を巡る辺野古移設問題の経緯

普天間基地の移設に伴う名護市辺野古の埋め立てを巡り、国が玉城知事を訴えた代執行訴訟。これまでの経緯を振り返る。

土砂の投入が始まって今月14日で5年。

埋め立て海域の南側では先月の末時点で計画の99.5%にあたるおよそ318万立方メートルの土砂が投入されています。

辺野古移設の阻止を掲げて保革の垣根を越えたオール沖縄が生まれ、移設に反対する県民の民意はこれまで選挙や県民投票で示され、県はあらゆる手段で政府に対し計画の断念を求めてきました。

こうしたなか、埋め立て海域全体の7割にあたる大浦湾側で見つかった軟弱地盤。
滑走路の建設には、最も深い場所で海面から90メートルに達する地盤に7万1千本もの杭を打ち込む改良工事が不可欠に。

前例のない工事で、工期は当初の8年から12年に、費用は3500億円からおよそ2.7倍となる9300億円まで膨れ上がりました。

土砂の投入開始からおよそ1年半が経過した2018年、沖縄防衛局は大浦湾側の設計変更を県に申請しました。
これに対し県の判断は「不承認」でした。

2021年11月 玉城知事:
『本来、沖縄防衛局において事業開始前に必要最低限の地盤調査を実施すべきであったにもかかわらず、これを実施せず不確実な要素を抱えたまま見切り発車したことに全て起因するものと考えています』

玉城知事が申請を不承認とした処分を国土交通大臣は取り消し、さらに承認するよう是正の指示を出しました。

県はこれらが国の違法な関与にあたるとして裁判を起こしましたが、形式的な手続き論に終始し、県が主張した不承認の正当性については判断が示されないまま2023年9月、最高裁で県の敗訴が確定。

行政の長という責任を負う立場と、県民投票で示された結果や、自身の選挙で託された移設に反対する民意との間で判断を迫られた玉城知事。

2023年10月11日 玉城知事:
『受忍限度を超えている状況を、これ以上さらに押しつけさせるわけにはいかないという沖縄県の現状に鑑みた我々の考えを取りまとめた結果、承認するという立場には立てない』

設計変更の承認を迫る国の指示に応じず、承認しない考えを明確に示しました。

2023年10月に行われた第一回口頭弁論では、「埋め立てに反対する県民の民意こそ公益と認められるべき」と自ら法廷に立って訴え、その後も移設阻止に向けて政府には引き続き対話を求めることを訴えてきました。


きょう示された司法の判断によって、辺野古移設に反対する沖縄の民意は無視される形で大浦湾側の埋め立て工事が進められる状況となりました。

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