【参議院選挙企画 くらしの現場から】大学生を対象にしたアンケートから見えてきた政治に対する思い
参議院選挙で県民が一票に託す思いを伝える「くらしの現場から」をシリーズでお伝えします。
これから社会に踏み出す大学生たちはいまの政治をどう見ているのか。沖縄テレビが県内の大学生を対象に実施したアンケートから見えてきたのは、物価高や学費の負担といった暮らしの中の課題を変えたいと願う強い想いでした。
高良記者、譜久村記者のリポートです。
譜久村司記者:
物価高対策や政治とカネの問題が争点となった今回の参院選。若い世代は政治をどう見つめているのか、学生たちのリアルな声を聞きました
沖縄テレビでは名桜大学と琉球大学の協力を得て、学生148人を対象に政治と選挙に関するアンケートを実施しました。
10代・20代の投票率が全国的に伸び悩み「若者の政治離れ」が指摘されるなか、アンケートから見えてきたのはイメージとは異なる学生たちの姿です。
「政治に関心はありますか?」という質問に「とてもある」「ある」と答えた学生の割合は全体の83%にのぼりました。
名桜大学の学生:
若者の投票が少ないということだったので、政治に参加していこうかなと思って
琉球大学の学生:
自分たちが選挙に参加していくことで、変わっていくのかなと思います
政治参加への高い意欲を見せる学生たち。アンケートのなかで特に多く寄せられたのが、物価高や家賃の高騰といった暮らしの厳しさでした。
名桜大学の学生:
食材が高すぎて買うのをためらってしまうから、できるだけ消費税とかを今のままで、あげないでほしいなと思います
琉球大学の学生:
色んな面で今物価が高騰しているので、自分自身だけで生活をしていくのは難しいかなって
生活に重くのしかかる経済的な負担を背景に調査ではおよそ7割の学生が「政治に不満がある」と答えました。
授業料だけでなく交通費や生活費など、何かと出費の多い大学生活。調査では、こうした「学びにかかるお金」への不安の声も目立ちました。
琉球大学の学生:
もっと安く高校・大学に通えるように、大学を行きやすくしてほしいなと思います
名桜大学の学生:
所得が低い人とか中間層の人からしたら奨学金の問題だってあるし、そういうのを一定に、平等にしてほしいなというのがあります
授業料をめぐっては今年4月から子どもが3人以上いる世帯を対象にした無償化制度が始まりましたが、条件に当てはまるのは3人以上の子どもを「同時に」扶養している世帯に限られます。
たとえきょうだいが3人以上いても、1人でも扶養を外れていれば、対象外となるなど制度のすき間に取り残されるケースも少なくありません。
政治への不満や制度への疑問を抱えながら、学生たちは選挙にどう向き合おうとしているのでしょうか。
「今回の参議院選挙は投票に行きますか」との問いに「必ず行く」「行く予定」と答えた学生は全体の7割を越えました。
琉球大学の学生:
自分の投票、1票がもしかしたら今後の政治とか社会を変えられるんじゃないかと思って、今回の選挙は強く参加したいなと思っています
投票の際に重視する政策では「景気・雇用」が最も多く、「物価高対策」が続きました。「教育環境の充実」にも高い関心が集まるなど、ここでも「お金」と「学び」の課題が色濃く表れています。
また「支持する政党がある」と答えた学生は1割未満にとどまりましたが、「投票したい候補者はいないが誰かに投票する」との回答が半数近くにのぼりました。
迷いながらも一票を投じようとする姿に、若者たちの「模索」がにじみます。
琉球大学の学生:
選挙に行くにあたって色々調べたり考えたりするので、今何が問題となっているかを改めて自分で調べて知る機会になるかなと思って、(投票に)行きたいと思っています
アンケートでは、「大学生の声は政治に届いていると思うか」との質問に、8割近くが「思わない」と答えました。それでも「声をあげたい」と前を向く学生もいます。
琉球大学の学生:
(投票に)行っても意味ないよねとか、大きな流れに身を任せるみたいな友達もいますし。ちゃんと投票したことでどれだけ反映されるかわからないけれど、行かないで諦めるよりは行ったほうがいいのかなと思うので、行きます
148人の学生が語った、政治とのリアルな距離感。見えてきたのは「無関心」ではなく、一票に想いを託そうとする若者たちの姿でした。
若い世代の想いを、政治がどう受け止めていくのか。参議院選挙は20日に投開票されます。
追記:
アンケートでは「議員や政治家に求めたいことはありますか」と聞いたところ寄せられた100件余りの自由記述のうち実に4割が「税金を正しく使ってほしい」や「使い道を明確にしてほしい」といった要望でした。
また2割以上が掲げた公約を実現、守ってほしいという声があがっていました。
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