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戦後80年シンポジウム「戦争と心の傷に向き合う」
熾烈な地上戦が沖縄の人々の心にもたらした「心の傷」に焦点を当て、戦後80年について考えるシンポジウムが23日那覇市で開かれ、専門家らが戦争トラウマの実態を語りました。
「戦争と心の傷に向き合う」をテーマに開かれたシンポジウムでは、戦争の残酷な記憶や体験によって生存者が苛まれた不眠や悪夢など深刻な身体への影響について、専門医や研究者などが意見を交わしました。
また、心の傷による影響は戦争体験者だけでなく、その家族にまで及ぶことを著名な演出家を父に持つ幸喜愛さんが自身の体験をもとに語りました。
幸喜愛さん:
きつい言葉や手をあげる親が果たしていい親なのだろうかという思い
幸喜さんやきょうだいが父から受けていた暴言や暴力は、沖縄戦で愛しいわが子を亡くし心を乱した祖父から父も受けていたもので、沖縄戦から連なっていたことに気づいたと言います。
長年、沖縄戦のトラウマについて研究し、症状の治療にあたってきた精神科医の蟻塚亮二さんは、終戦から長い月日が経っても戦争の記憶は過去になり得ないと説明しました。
精神科医蟻塚亮二さん:
過去の時代に起きたトラウマ的な記憶が、現在の自分に侵入して来ることがPTSDという。だから時系列を無視している。現在進行形で今もとても熱い記憶なんです。冷えた記憶になっていない
戦争体験者やその家族が悲しみや苦しみを抱え込まず、少しずつでも語り共有できる機会づくりの重要性を考える場となりました。
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