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【再建工事が進む首里城正殿】2026年秋の完成に向けてこの1年を振り返る

来年、沖縄にとって大きな節目を迎えるのが首里城再建です。2026年秋の完成を目指す正殿の外観が今年再び姿を表しました。

佐久本浩志アナウンサー:
年の瀬も押し迫る首里城正殿です。2025年、正殿を覆っていた素屋根が外されて、沖縄の空の下に、この姿が戻ってきました。特別に許可をいただいて建物をライトアップしてお伝えします。

首里城といえば「赤い城」。いま目の前にある赤はこれまでとは異なります。新たな知見により王国時代に用いられていた顔料が使われ、平成の復元時より落ち着いた深みのある赤になりました。「令和の復元」はいよいよ2026年秋の完成の日が近づいています。火災から6年となった2025年の歩みを振り返ります。

2019年、火災で失われた首里城。

国の内外の支援を受けながら、再建は着々と進められてきました。2025年は完成に向けて様々な姿を取り戻していく1年となりました。

5月に取り付けられたのは魔よけの役割を果たす「鬼瓦」と呼ばれる獅子飾り。沖縄伝統の釉薬が使われ美しい緑と茶色を生みだしています。阿吽の鬼瓦には、首里城を二度と火災で失わないという職人たちの願いが込められています。

鬼瓦の造形を担った新垣光雄さん:
火返しの役目をしてくれれば一番作った意味があるのかなと思って。今回で首里城は燃えないという力が入っていますので

琉球王国時代の正殿の趣により近づいた赤が再現されました。尚家の古文書に記され、平成の復元の際には突き止められなかった天然の顔料久志間切弁柄の上塗りです。

沖縄美ら島財団 琉球文化財研究室 幸喜淳 室長:
琉球王国時代の人が見た首里城を、また現代の人も見ていただいて、その思いにふけっていただければいいかなと思います

正殿の正面に立つ向拝柱。数百枚の金箔を用いた「金龍」。そして色鮮やかな「五色之雲」が描かれました。

漆芸工房 森田哲也さん:
なかなかタイトなスケジュールで進めてきたので、思うように進まないところもあったんですが、塗り直したとことも何ヵ所もありまして、何とか仕上がって正直いまはホッとしています

佐久本浩志アナウンサー:
素屋根のV字型の大きな鉄骨がクレーンで吊り上げられていきます

再建が進む正殿を雨風から守ってきた素屋根が外されました。青空の下で赤瓦が輝く雄大な姿が戻ってきました。

訪れた人は:
思ったより色がめっちゃ鮮やかですごい綺麗です。できてからまた来るのが楽しみです

訪れた人は:
首里城の赤を再現するのが大変だったとテレビで見たので、それを肉眼で見られてすごく嬉しい

外観が完成した正殿の内部では復元工事が急がれています。玉座を支える須弥壇とよばれる部分が組み立てる様子です。

社寺建 山本信幸 総棟梁:
鎌倉芳太郎さんの写真からどうもこれは「しまこ柱」という、それが逆Tの字という写真から判明して今回は踏襲した。平成の復元よりもかなり往時に戻ったような気はしています。

曲線が多い正殿内部は、図面通りに木材を加工しても組み立てが難しく、木材をさらに削りながら微調整し1か所ずつ合わせていく繊細な作業が進められました。

社寺建 山本信幸 総棟梁:
竣工して出来た時に特に沖縄の方が「あぁ戻ってきたな」とつぶやいてくれるだけでも私は一番の褒め言葉だと思っています

外から見えない正殿内部では完成の日に向けて職人たちが仕事にまい進しています。

佐久本浩志アナウンサー:
久志間切弁柄が用いられ、新たな「赤い城」に生まれ変わった首里城正殿。外壁の色の分、正殿の顔である唐玻豊や向拝の朱色が鮮やかに美しく際立ち、より風格を増しているようです。

職人のみなさんも26日が仕事納めでした。12月から始まった両廊下の工事や正殿内部の作業は年明けの再開となります。

首里城公園では、この機会にこれまで立ち入りが制限されてきた御庭の一部を27日から正月まで解放します。正殿を正面から間近で見ることができるようになります。

かつてここからの眺めを覚えていますでしょうか。正殿だけでなく北殿や南殿など周りの建造物も復元された暁には御庭本来の光景が戻ってくるはずです。

首里城再建の大きな節目であり、一つの通過点でもある正殿の完成は2026年秋を予定しています。

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