【衆院選~暮らしの現場から~】南西シフトに揺れる石垣島 有権者の思いとは
8日に投開票される衆院選に向けて有権者の声をお伝えするシリーズ「暮らしの現場から」。
今回は政府が「戦後最も複雑かつ厳しい」とする安全保障についてです。
南西シフトに揺れる石垣島で複雑な思いを抱える住民の声を聞きました。高良記者のリポートです。
高市首相:
安全保障政策の抜本強化、インテリジェンス機能の強化など「国論を二分」するような大胆な政策ですそういった政策の改革変更についても批判を恐れることなく果敢に挑戦していきたい(1月19日の解散表明会見)
衆議院の解散を表明する会見で、安全保障の抜本的な強化を強調した高市総理。
「戦後最も複雑で厳しい安全保障環境」と強調し、南西シフトをさらに強化させていく方針です。
沖縄県内では2016年、与那国島に自衛隊が配備されたのを皮切りに2019年に宮古島、そして2024年には「防衛の空白地帯」と言われていた石垣島に駐屯地が開設。
2027年度には与那国駐屯地にミサイル部隊の配備、陸上自衛隊の第15旅団の師団化が決まっています。
この10年の間、安全保障環境が激変した先島諸島では、様々な声が聞かれます。
こうした動きに街の声は・・・
石垣市の男性:
石垣にいるので脅威は感じますよね。だから国防力を上げるっていうのは、ここに住んでる者としたら、やっぱりそれはありがたいですね
石垣市の女性:
抑止力ね。私自身としてはあまり・・・
石垣市の女性:
(自衛隊基地が)あるから、何かしら危険があるんじゃないかという不安はありますけれど、ないよりは安心材料の一つとしてはあるのかな
政府による南西シフトの強化の背景には、尖閣諸島を巡る中国との緊張関係があると見られます。
八重山漁協の伊良部幸吉専務理事は「国際情勢の不安定さを肌で感じる」と話します。
八重山漁業共同組合 伊良部幸吉専務理事:
昨年も軍事演習をしたという報道がなされていましたけれども、こういった軍事演習を頻繁にやることによって脅威にも感じますし、漁業者のみなさんも不安になると感じています
尖閣諸島周辺での漁業活動は以前のように自由にできません。
八重山漁業共同組合 伊良部幸吉専務理事:
いま尖閣の場合は、日本の海上保安部のみなさんが海警局と漁船の間に入って、妨害されないように努力していただいて操業できるのが現状
防衛力の強化によって、漁場の安定につながるのではないかと政府の方針に一定の理解を示しています。
八重山漁業共同組合 伊良部幸吉専務理事:
個人的な見解ですが、自分の国は自分で守るというスタンスでいいと思いますし、自衛隊基地があることによって抑止力になるという期待感は持っています
その一方で、伊良部さんは対立が深まり国際情勢が悪化することで、生活や仕事に影響することも懸念しています。
「自由な漁業活動ができない」。政府にはこの現状を変えてほしいと訴えます。
八重山漁業共同組合 伊良部幸吉専務理事:
いまの現状を変えてほしいということです。尖閣に常駐していて「中国は自国の領土だ」と主張していますので。(以前は)自由に八重山漁協の船も尖閣周辺に行って誰にも邪魔されず操業できたので、元通りに戻ってくれればいいのかな
かわみつ農園 川満起史さん:
(自衛隊基地が)開設して、それがだんだんと日常になってきているというのがシンプルな、ここ最近のところかなと思いますけれども
川満起史さんは石垣市でマンゴー農園を営んでいます。
川満さんは石垣島への自衛隊配備を巡り、市民の意思表示をする場を作りたいと2018年に仲間とともに立ち上げた「住民投票を求める会」の共同代表を務めていました。
駐屯地が開設して3年、島の様子の変化を感じています。
かわみつ農園 川満起史さん:
畑近くの道路を自衛隊の車両が何台も走っているというのは何度かありました。その時にやはり物々しいなと
政府は有事の際、先島諸島の住民を九州各県に避難させることを国民保護計画で示していますが、自身の生活を考えると不安が拭えません。
かわみつ農園 川満起史さん:
数カ月畑を空けてしまうだけでその年の収穫は見込めないと思いますし、避難すればいいだけでないというのは感じる
急速に進む南西シフトについては複雑な思いを抱えています。
かわみつ農園 川満起史さん:
自然豊かな石垣島が好きだったので、そうではなくなってしまうことに寂しさを感じる個人としての僕がいますし、本当にここが安全保障の最前線であるならば、基地があることも一定の理解というか我慢はしないといけないのかな
それでも、政府の進める防衛力の強化が他国との緊張を高めいつか不測の事態に陥るのではないかという不安を常に持っています。
かわみつ農園 川満起史さん:
軍備を拡大していった先に戦争がなくなる未来は訪れるのだろうかとは思います。短期間で見たら、抑止になるとか防衛のためにという気持ちはわかるのですが、基地や武器、兵器がなくなってこそ世界から戦争が消えると思っているので
川満さんが政府に求めることは。
かわみつ農園 川満起史さん:
シミュレーションをするのは必要だと思いますが、それよりも優先するべきはそういった事態に陥らないこと。間違いが起こらないようにしてほしい、そこに全力を注いでほしいと思います
政府が進める防衛力強化の先には安全があるのか。目まぐるしく変わる安全保障環境の下で、先島諸島で暮らす人々は複雑な思いを抱えています。
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