沖縄各地の海でサンゴが白化 危機感を募らせる関係者「回復できるか死滅するか境目」
この夏、県内各地の海でサンゴの白化現象が確認されています。
沖縄周辺海域の高い海水温などが原因の1つと見られ、関係者はサンゴが死滅する恐れがあると危機感を募らせています。
八重山地方の海に潜った写真家の南條明さんが撮影したサンゴ礁の映像です。西表島の海では、画面に映る9割近くのミドリイシが白くなっています。
南篠さんによるとサンゴの白化現象は7月上旬から始まったということです。
石垣島名蔵湾では、周囲の長さが70メートルある巨大なコモンシコロサンゴも全体が真っ白になっていて、一部は死滅しているとみられます。
南篠さんは「こんなに急激にサンゴの白化が進行するとは夢にも思わなかった」「温かい海の中で、サンゴが白化している光景は背筋が凍るような思いがする」と話しています。
サンゴの白化は沖縄本島でも進んでいます。
本部町の瀬底島では、サンゴ礁に囲まれた浅瀬「イノー」などでサンゴの白化が確認されています。
写真の中央で白化しているのはミドリイシサンゴです。また、こちらのサンゴは死に始めているということです。
県サンゴ礁保全推進協議会の中野義勝会長:
「多くの研究者連日の猛暑というニュースを聞いたあたりからこれは(深刻)と思っていると思いますよ」
瀬底島のサンゴを調査した県サンゴ礁保全推進協議会の中野義勝会長は、高気圧に覆われて強い日差しにさらされ、また高い水温と相まってストレスを受け続けたことが白化の要因と見ています。
気象庁によりますと、7月の沖縄周辺海域の海面水温は7月としては1982年以降、最も高くなりました。
7月末に台風3号が接近し海面水温はやや低下しましたが、8月に入り再び上昇しています。この状態が続くようであれば、瀬底島のミドリイシ類はここ1週間ほどが回復できるか死滅するかの境い目だということです。
県サンゴ礁保全推進協議会 中野義勝会長:
「月末くらいまで同じ状況が続くとこれが徐々に水深の深いところまで影響しますし、沖縄全体としては今後数週間、月末くらいまでが回復可能な白化なのかだいぶサンゴが死亡してしまうような重篤な悪化なのかが分かるかと思います」
沖縄では2016年や17年にも大規模なサンゴの白化現象が起きたばかりで、中野会長は被害の間隔が短くなっていると危機感を募らせています。
県サンゴ礁保全推進協議会 中野義勝会長:
「現在進行しているのは気候変動の文脈の中で起こっている白化現象が、記憶にまだ新しいのにまた起こった事態は深刻です」
八重山や沖縄本島でも確認されているサンゴの白化現象。
環境省は9月にも白化現象の状況について調査を始める予定です。
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